直虎6話。中と伯の話はオリジナルエピソードの例え話だと思う

2020年2月7日

まんじゅうの話

とどでございます。

5話から少女漫画感前回の直虎。鶴丸の不遇な感じには何とも言えない気持ちはありつつも、帰還したヒーロー直親の奮闘する様子は見もの。

「本領安堵」の言葉が呪いのように降りかかってきているのがまた悲し。直虎は自業自得という言葉を繰り返しますが、確かに直虎の行動によるものなので後から帰還した亀之丞が何とも言えない問題です。

身分や社会的な立場が二人の間を引き裂く、というのは悲恋の象徴ですが、井伊家に帰還した亀之丞もそこに巻き込まれてしまいました。

その際、超の国の話として南渓和尚が中と伯の話をしましたが、あれについても。

戻って来たばかりだからしがらみに囚われない考え

戻って来たばかり、ということは、井伊家を取り巻く事情に疎いという事。なのでしがらみに囚われない発想を持つことができるのです。

直親は井伊家の人々に迎えられながら、おとわを嫁に迎えようと案を出し、井伊家の人もそれを実現させようとします。元々結婚させるつもりだったことから、井伊家の人は乗り気でしたね。

でもそうは上手くいきません。今川の領土拡大の勢いが止まらず、兵が足りないことから、何かお願いすれば逆に「兵を出せ!」と言われる状況になってしまいます。下手に派兵することになれば、いきなり直親を失うことだって考えられるのです。

直盛としては、娘の幸せは願いたいけど、でもそのために井伊家が無くなるような事態も引き起こせない、とても胃の痛い立場に立たされました。

結局のところ、直親は「おとわがいなくなったことにすれば本領安堵の縛りも無くなる」と考え、身を隠すことを提案しますが、おとわはこれを拒否。南渓和尚から言われたまんじゅうの話を例に、井伊家に何かあったときのために自分がいられるような道を選びました。

おとわは「我がかびたまんじゅうであることが井伊家のため」と言いましたが、フラグが立ってました。確かに、直親と一緒になっていたら、井伊直政までバトンが繋がらなかったかもしれませんからね。

20かそこらで、自分の気持ちを押しとどめて家の存続を選択する、というのは現代からすればいささか厳しい考え方だと感じますが、それだけの時代だということの表れですね。個人の気持ちは大事だけど、でもそれを優先しちゃったら他の人に迷惑が掛かりますからね。下手したら「ハラキリ!」になってしまうかもしれないし。

最終的には別の人と結婚した直親。その胸中やいかに。

1話のリスペクト

滝に飛び込むふりをする、という場面に出てきた滝は1話と同じものでした。あの頃は飛び込んでいましたが、今回は飛び込まない結果に。

1話で出てきた場所が時間を変えて再登場するのはよくある演出だけど結構好きです。今後も岐路を象徴する場面で登場するのでしょうか。

中と伯

実力が伯仲している、の伯仲とはまた別の字。最初はこっちかと思っちゃいましたが、ルーツも違いましたね。

超の王様である道威が、その大臣である中と伯のどちらかを追い出さなければならなくなったとき、まんじゅうをそれぞれ2個与えてどうするか見た、なんて話を南渓和尚がし始めます。上記の直親との会話にもつながっていくシーンなのですが、「こんな故事あったっけ?」と疑問が生まれました。

NHKのあらすじのページによれば、南渓和尚が話していたのは「超の国」だそうで。李牧のいた「趙」とは別の国なんですね。誤字じゃなければ架空の国かな。何かあったときの備えをしておくという考え方を伝えるためのオリジナル話でしょうかね。ググっても見つからないし。

既に竜宮小僧というファンタジー要素が出ているので、架空の国が出てきても驚くことはありません。ファンタジー例え話です。

ちなみに実力伯仲は、伯が長男、仲が次男を指し、年が近い兄弟って実力が均衡しているから、甲乙つけがたいよね、って話です。(だいぶ意訳)

竹千代がシュール

5話の時点で1554年の春が舞台になっています。今川領で竹千代(後の徳川家康)が人質になっている様子が見られますが、演じているのは阿部サダヲさん(46)。竹千代の年齢を考えると、彼が生まれたのが1543年とのことなので、作中では11歳。中卒ですらないですね。別ドラマの娘と同じくらいの年齢の人物を演じるなんて中々ない経験じゃないでしょうか。

登場人物の年齢と、役者の年齢の乖離っぷりでは上位にランクインしてそうですね。

胃の痛いポジションにいる鶴丸

前回は鶴丸回でしたが、今回は直親(亀之丞)に焦点が当たっています。そのため、友人の立場では応援しようと思っても、井伊家のことを考えると単純に応援もできず、意見を言わないといけない、なんて立場でした。

皆が楽観的に喜んでいる中、通る声で意見を言う小野政次が印象的でした。高橋一生さんと言えば、「耳をすませば」の天沢聖司くんの中の人。大人になった今では、聖司くんと違った印象の声ですが、それでも低音系の響くいい声なのが良いですね。

諫める立場の人は結構嫌われがちですが、鶴丸はそんな立場にいて今度どうなるのか、期待したいところ。最後まで綺麗な鶴丸でいてくれるといいのですが。

まとめ

前回の亀之丞の意気揚々とした帰還に比べて、しょんぼりするシーンが多かった6話。ここから井伊家は時代の奔流に飲み込まれていくわけですが、それも見届けたいところ。

おまけ

サブタイトルの元ネタ集作りました。