直虎7話。「検地がやってきた」のは太閤検地ではありませぬ
とどでございます。
ついつい太閤検地のことかと思ってしまいましたが、今川による検地のことでした。太閤検地が行われたのは、1582年以降、つまり本能寺の変以降のことですから、私は盛大に勘違いしていた訳です。直虎7話時点での年代は1550年代後半でした。まだノブは元気に暴れてます。
さて、今回の主眼は今川による検地から川名の隠れ里を守るという点でしたが、これって……いや、何も言うまい。
今川は領地拡大のため、方々に戦いを挑んでいるので兵力が必要なのです。兵力とは人だけでなく、彼らを養うための兵糧、つまりご飯が必要な訳ですから、自国内の農地でどれだけの食料が得られるのか確認する必要があるのです。兵糧がいっぱいあれば、戦いが有利に進む訳です。
一方、巻き上げられる側としては、黙って米を持っていかれる訳にはいきません。特に井伊にとって最後の生命線ともなる隠れ里まで課税対象になってしまえば、いざというときに井伊の人々養えないかもしれません。なんて爺様がごねたおかげで、最終的に鶴丸(=小野政次)が胃の痛い思いをすることに。
今回ばかりは井伊直親を擁護できない気持ちになったなー。最後の最後で「俺最近このプロジェクトに入ったばっかりで、よく知らないんすよね」なんてダメ上司のようなセリフを吐くなんてびっくりです。そういえば元リーダーも私を矢面に立たせてそんなこと言ってたなぁ……なんて遠い目になりました。
結果として鶴丸が頭脳明晰だったおかげで切り抜けましたが、あんなことされたら信用無くして当然です。これは鶴丸裏切ってもしょうがない。そんな鶴丸を応援してる。
今回はフィギュアスケートの男子フリーと重なってしまったので、録画で見る人が多いかもしれませんね。ええ、私もそのひとりです。
亀之丞とのセッションを取られた
亀之丞の笛とおとわの鼓でセッションすることを夢見ていたおとわ。でも亀はしのと結婚してしまい、その二人で演奏をすることに。おとわの母からもらった鼓も、出家するときに置いてったんでしょうか、しのが使っていましたね。
托鉢にまわるおとわの姿との対比が印象的なシーンでした。巡り合わせによってはあそこで演奏していた可能性もあった訳です。
ただ表面上は夫婦になったように見えても、亀の心はおとわに向いたままだったのが何とも言えない気持ちに。新婚のはずなのに頻繁に別の女性の元に向かう、なんてしのが泣いてもしょうがない状況です。「幼馴染だから」「友達だから」なんて本人が言っていても、置いて行かれる方としては面白くないでしょう。
帰参は許すけど検地させてね
というのが今川の言い分。これで済むなら激甘ですね。反逆者の息子を許すんですから。
今川にとっても、領土拡大を行っている時期に、直親をハラキリ!させて戦力を削ぐのは嬉しくないんですよね。猫の手も借りたいときに、人を減らすなんてもってのほか。多少反乱因子であったところで、使いようによっては役に立つこともありますから。
爺様は検地が川名の隠れ里まで及ぶことを恐れていました。隠れ里は井伊にとって最後の砦なので、敵の目に曝したくないと。
その最後の砦のせいで井伊自体がピンチになるという哲学的な逆転現象が起こりかけましたが、今回はなんとかしのぎましたね。
エルフの村みたいな隠れ里
ノアニール近くのエルフの里みたいな感じでした。森を抜けていくと集落がある、みたいな。でもあれだけ広いのに、ばれないようにするのは無茶じゃないでしょうかね。
今回はここがばれないように、検地に来た人間を「丸め込む」と直親が言っていました。政治的な手腕が試される、いわば試金石となった訳です。結果として鶴、亀、おとわの3人の働きによってピンチをしのいだわけですが、直親単体で見たら心配になるレベル。
政治的な手腕はまだまだのようで、詰めの甘い部分が目立ちましたね。あまちゃんです。
おとわのコネを使って情報を得ようとしたのは良かったけれど、相手の出方待ちになっていたし、現場では政次の機転頼みだったし。まだまだ戻って来たばかりであり、何より若いので、これを糧に成長していく様子がみられることでしょう。特に夜になっても勉強している様子が見られたので、やる気はありそうで何よりです。
嫌われる監査役
お目付け役が疎まれるのはどの時代も同じようですが、彼らがいなければ内部統制は難しいでしょう。
特に爺様や中野が好き勝手に動くので、監査役の鶴丸も胃の痛い思いをしていたことが窺い知れます。検地で過少申告して後でばれたら、後でより多くの税が取られますからね。払うべきものは払っておいた方が、より多くの「安心」を買えるのです。
監査役のチェックを通っているって、大きな安心感ですからね。下手に裏をかこうとすることほど危ないことはありません。
鶴丸は自分で非を被ろうとした
隠そうとした川名の隠し里もばれてしまいました。「そちらには何もありませんよ」って言うのは「そちらに隠したいものがあります」と言っているのと同義です。
問い詰められて、「ここは井伊の土地じゃないんすよ。最近来たばかりでわかんないっすけど、目付の但馬がなんも言わなかったんで、井伊の土地じゃないと思いますよ。だよな、但馬!」という直親の暴言に耐えながら、なんとか言い訳をした政次。「南朝の御子様が隠れ住んでいた里」と伝え、「それならしゃーなし」と岩松殿に言わせました。
御子様とは、天皇の子のうち、皇位についていない人を指します。その御子様が住んでいた土地は天皇家のもの、つまり国有地だから、今川による課税対象の土地じゃないんですぜダンナ、というのが政次の言い分でした。現場であんな無茶振りされて、とっさにこの言い訳をひねり出すなんて有能すぎる。
高橋一生さんの、苦々しい表情から意を決した表情への移り変わりが見事でしたね。辛そうな顔させたらダントツの役者なんじゃないでしょうか。
いくら事前に「下手したら小野を矢面に立たせることになる(意訳)」と言っておいたとはいえ、直親のこの仕打ちはひどくないか。現代だったら、「そうだ、転職しよう」って思われてもしょうがないレベル。誰だよこれがヒーローだなんて言ったのは……私でしたすみません!
しかも鶴丸が川名の検地帳を持っていたのって、これまでの鶴丸の性格を考えると「自分のミスでした、ごめんなさい」って言うためだったんじゃないかと。自分が一歩引けば井伊は救われる、という考えから、自分で非を被ろうとしたように思います。
最初に「破り捨てました」と嘘をついたのはいただけませんが、いざというとき井伊を守るため、だったらしょうがないかも。
お前のそういう所が好かぬ
竜宮小僧の井戸にいるときは、幼い日のままの彼らでいられるのでしょう。主君と家臣という間柄ではなく、かつての亀之丞、鶴丸の姿で話しているシーンでした。
直親にとっては政次は、間接的に自分の父親を罠にはめた人間の息子、という立ち位置。10年間離れている間に、思うことはいろいろあったことでしょう。離れている間のエピソードがないので、今の心の揺れ動きが突発的に見えてしまう部分もあります。
直親は、仕事とか頭の良さで政次を信用しているけど、心の奥では信頼していないようでした。その表れが、相手を試すような言動ですね。
信頼しているけど、信用していない、だったらまだ良かったんですけどね。信用しているという言葉を盾に相手任せにするんじゃなくて、ちゃんと話し合って進めていく、みたいな。
十分に方針を話し合った上で、最後に相手に委ねるとかならいいんですが、今回の直親は、自分がどうしたいか、小野がどういう立場かを語った上で政次がどう出るか試していました。これは、やられたら腹立ちますね。脅しまでかけて、結局自分の思う通りに動くことを確認されている訳ですから。
相手を気遣っているふりして試す、なんてされた日にゃ、「お前のそういう所が好かぬ」と言い放ってもしょうがない。
これがジャンプとかゲームだったら、このまま殴り合いのけんかの果てに和解、コミュMAXでペルソナ覚醒、ってなってましたが、大河だからこのしこりが残っちゃうんでしょうね。彼らには、立場を捨てて腹を割って話す機会が必要だったのかもしれません。
おとわ今回なにしたの
今回分かりにくい活躍だったおとわ。鶴丸に無下にされる姿が印象的でしたが、瀬名の力も借りて、検地に来た岩松殿の情報を持ってきました。
先立った奥さんの命日だったこともあり、墓参りなり、お寺で経を上げたい気持ちをこらえてまで、検地に来てくれて心中お察しします、せめて今日のうちにお経を上げさせてください、というのがおとわのやったこと。つまり岩松殿の気持ちをホイミの如く癒した訳です。
「大好きだった妻の命日なのに、こんな辺鄙なところまで出張になった挙句、嘘までつかれてたなんて、やってらんねーよチクショー!」なんていう気持ちの岩松殿の心を静めてあげたのです。
結果的に鶴丸の言い訳を承認したので嘘ではなくなったのですが、それでも疑念はあったことでしょう。そこですかさず、おとわが奥さんのために経を上げることで、心の隙間を埋めたのです。最後に良い気持ちになってもらって、さっさと帰ってもらうことで疑念を持たせないようにしたのですね。
直親たちをサポートして、さらに岩松殿の心をホイミ(お経)で癒すなんて、まるで僧侶みたいですね。あ、出家したので僧侶でした。
今回の家康は味方
影のMVPである家康がちょっとずつ出てきています。前回はラスボスでしたが、今回の大河は徳川四天王である井伊直政につながる物語ですから、タヌキ親父感はあまり出てこないかもしれませんね。
役者によってかなり幅のある徳川家康ですが、今回のサダヲ家康が大人になってどうなるか楽しみです。
まとめ
直親奮闘回に見せかけた政次回でした。井伊に振り回されっぱなしですが、彼が報われる日は来るのでしょうか。
おまけ
サブタイトルの元ネタ集作りました。
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