麒麟がくる第四十三回感想「闇に光る樹」信長の疑心暗鬼が止まらない

麒麟がくる

とどでございます。

光秀は最近大きな木を切り倒す夢を見るそうで、不眠を訴えていました。信長が変わってしまったことで、潜在意識の中で信長をなんとかしないといけないと思い始めたのかもしれません。

信長は信長で光秀がイエスマンでないことに腹を立てて、光秀に難癖をつけては叩いています。

「木を切れば信長が落ちて命を失う」と分かっていながら木を切るのをやめない光秀は、家康の饗応役で信長にケチをつけられた際、現実でも木を切る仕草をしていました。もう完全にやる気ですね。

信長は暴走し、秀吉は信長に協力的、家康はどちらかというと光秀に味方する立場のようですね。家康が理解者になってくれると光秀も心情的には救われるのではと思います。

今回帰蝶様に聞きに行った「道三ならどうする」→「毒を盛る」の流れが本能寺に繋がっていくようです。

木を切る夢

今回は全編にわたって光秀が見た夢である「木を切る夢」がテーマになっていました。帝との月見で桂男の話をした際に、月まで行こうとして帰ってきたものはいない、なんて話が出ていたのですが、光秀の夢もそれがモチーフになっていました。

木には信長が登っていて、木を切り倒せば信長は地面に落ちて命をなくす、それを分かっていながら自分は木を切ろうとする、とお駒さんに相談していました。これを言われたお駒さんもなんて答えていいのやら、「やりましょう」とも言えないし、「やめましょう」とも言えないし。

夢に悩まされるのはノイローゼになりそうです。当時の価値観だったら夢は何かの暗示だと受け止めるでしょうし、「潜在意識でこれを望んでいるのでは?」と自分に問いかけたくなる光秀の気持ちも分かるような気がします。

途中までは夢の中の話だったのですが、戦勝祝いで家康を歓待する際、信長に難癖をつけられた時には現実でも手刀で木を切る仕草をしていたのが「あ、光秀相当メンタルやられてるな」と感じさせる部分です。殴りかかってきた蘭丸をいとも簡単に投げ飛ばし、信長を睨みつけながら切ろうとするのは鬼気迫る勢いでした。

命を助けたのに

丹波攻略でついに平定した光秀は、八上城城主の波多野氏を助命しました。安土に送られる彼らに対して「安心して旅に出られよ」と行ったのに、向かった先の安土では磔にされるというまさかの展開に。

わざわざ助命した光秀に対して見せるために、首を塩漬けにして残しておく信長のサイコパスっぷりが発揮されました。

光秀としては助命したのにこんな結果になって彼らに対して申し訳ない気持ちでいっぱいかと思います。「裏切り者は制裁」と恐怖で人を縛る信長に対しては、みんな表面上従っていますがやはり本心から付き従っている感じではなさそうですね。

秀吉もジョークを飛ばしていましたが、あなたも十数年後にはそうなるんですよ、と教えてあげたくなりますね。秀吉も最後はかわいそうなことになっていましたから。

実澄様がいなくなったの切ない

今回何気にショックだったのが実澄様が亡くなっていたこと。光秀のことを何かと気にかけてくれていた理解者だったのに、もう会えないとなるのは切ないです。

帝が何を考えているのか、その心うちを知るための手引きをしてくれたのが実澄様だったので、光秀にとっては大恩のある人でした。

佐久間の離脱

前々から信長に怒られていた佐久間信盛がついに織田家から追放されてしまいました。

佐久間信盛は本願寺を攻めていましたが、なかなか結果が出ず信長に折檻状を送られたことでも有名です。麒麟がくるの中では、単なる仕事できない人では全くなく、信長についていけないと感じている様子が描かれていました。どちらかというと光秀のように信長が暴走していることを憂いている立場でしたね。

出家して去っていく姿も、ある種清々しさを感じるような感じでした。この点は佐久間信盛役の金子さんが語っていました。

家康との再会

家康と再会した光秀。前回会ったのは摂津で船の上でした。家康は妻と子供が武田と通じていたことを知り、その咎で彼女たちを斬りました。

今回会ったのは光秀が治めている国の運営方法について。この二人はお互いをリスペクトしている感じがあっていいですね。家康が幼い頃に会っているのも大きなポイントかもしれません。

この面会が疑心暗鬼な信長に伝わり、「ワシの見てないことろでコソコソやりおって」とさらに反感を買ってしまったのは辛いところです。饗応役として光秀が直接指名されたことも悪い方に働きました。

家康としてはある程度信頼している光秀についていてもらった方が安心ですが、信長からするとやたらと家康に肩入れする光秀は気に入らない様子でした。なので難癖つけて光秀を叱責するわけですが、光秀もついに我慢の限界がきたようですね。

信長と光秀の睨み合いも、以前からは想像できないような力のこもった目で相手を見据えているのが感じられます。火花を散らすというのはこうした情景をいうのでしょう。

帰蝶様から「我が父道三なら毒を盛る」と言われていたこともあり、戦のない未来を掴み取るために信長をどうにかしないと、と決意した様子でした。帰蝶様も、いくら道三として光秀の背中を押そうとしたとはいえ、自分の夫に毒を盛れと言うのも辛かったでしょうね。

それにしても、「無礼であろう!」と蘭丸が掴みかかってきましたが、この蘭丸だったら本能寺されても辛くないからいいですね(笑)

まとめ

次回はついに本能寺の変がやってきます。光秀の立場からすると、やはり信長悪玉説で本能寺したというのが濃厚でしょうか。「敵の名は織田信長と申す」のセリフに覚悟が込められています。

今回の放送で天正10年のテロップが出てきた時に「ついに……」と覚悟を決めるような感覚になりました。光秀に攻められた時の信長が何を思っていたのか、その点もどのように描かれるのか興味深いところです。

麒麟は登場するのでしょうかね。登場から全然歳が変わっていないような東庵先生が実は麒麟の正体でした、なんてことになったらどうしよう。