麒麟がくる第三十九回感想「本願寺を叩け」年明け早々の煕子殿ロスは辛い

麒麟がくる

とどでございます。

煕子殿が光秀を残して病に斃れました。

正月早々にこの回は心にきますね。明日仕事始めの人もいるだろうに、煕子殿ロスは大丈夫でしょうか……(大袈裟)

本願寺との戦いで光秀が高熱で倒れた際、御百度参りの後に駒さんと思い出話をし始めた時には「これはまさか」と嫌な予感がし始め、後半で光秀と思い出話をしているところでは「ああ、これは……」と察してしまいました。

光秀にとってはずっと支えてくれた人でしたから、煕子殿がいなくなってしまうのは辛いですね。こっちまで辛くなってしまいます。

右大臣になった信長

信長は戦での功により右大臣にまで上り詰めました。調べてみると鎌倉幕府の源実朝以来の大出世だそうで。その信長が、武田の軍勢が岐阜に攻めてきたことを受けて京を離れてしまいました。朝廷としてはそれだけの官位にある人を近くに置いておきたいところですが、信長は自由に岐阜まで戻っちゃいましたね。

三条西実澄さんがわざわざ岐阜までやってきて「帝を蔑ろにしないで」と釘を刺すと、「家督を信忠に譲って京に置くから許して」とまた自由なムーブ。

この裏には、帝が蘭奢待を毛利にあげたことが関係していました。毛利は信長アンチだったのでアンチを優遇する帝に不信感を持ったようです。

戦国時代は理詰めの出来事というよりは、割と感情で事件が起きていることがほとんどですね。

VS本願寺

信長が本願寺を攻めたことで、本願寺側も抵抗しようとします。

お坊さんが当たり前のように鉄砲を構えているのはブッダ的にはどうなんでしょうね。「執着するな」という考えなのに生に執着し、鉄砲を使って敵を撃って殺生をしてしまうのはアウトのような気もします。

だからと言って、まだ悟ってなくてその境地に達してないのに、やられるがままでいろというのも酷な話ですね。

仏教を広めるために立ちはだかる信長にはまだまだ抵抗勢力も多い状況です。

光秀も本願寺攻めに参加していましたが、思うように進まずヤキモキとしていました。光秀自身も腕をやられて怪我している状況ですから、無理もできないようです。

ただそこにやってきた信長は「気合いが足りん!」とまるでクソ上司のようなことを言い始めました。「お前たちのせいだ!」と主君を失った者たちを蹴り飛ばし、「わしが行く!」と鎧もつけずに敵の鉄砲の前に飛び出しました。

この時の信長は焦っていたようにも感じます。帝との関係もあまり上手くいっておらず、本願寺勢力も思わぬ抵抗を見せてきたことで事態をなんとか打開しようとしたのかも。西にも敵がいて、東にも敵がいる状況ですから、一箇所だけに注力しているわけにはいきませんからね。

信長がやってきたシーンで注目したいのは松永久秀です。信長が入ってきてみんなが跪いている中、ひとりで堂々と席に座っていました。信長に対して愛想をつかしてきている姿が見える部分です。

光秀も倒れる

戦いの無理がたたったのか、光秀は高熱に倒れてしまいました。戦っているのが仏教勢力だからか、大阪の医者はバチが当たるとして診察してくれず、家臣たちはやむなく京の光秀の家まで運んできました。大阪から京まで歩いて運ぶって相当大変ですね。光秀自身が怪我しているくらいですから、家臣たちだって現場で戦っていた後でしょうし。

煕子殿は草履も履かずに飛び出し、東庵先生の家まで駆け抜けました。光秀のピンチだからと足から血が出るくらいに急いでいたようです。

光秀を寝かせた後は御百度参りまで敢行しました。後で分かることですが煕子殿自身も胸の病があったのに、大雨をものともせずに光秀のために祈る姿は涙を禁じえません。

煕子殿と駒さんの思い出話

煕子殿は御百度参りの途中で倒れてしまいました。それだけ光秀のことが心配だったことが伺えます。お駒さんが探しに来てくれた事で見つかってよかったです。

このふたりは越前に行った当初は一緒にいたので、思い出話に花が咲いていました。なんかもうこの時点でやな予感がしちゃってたんです。過去を振り返るのはフラグですからね。

後半では煕子殿が床に伏せっている姿も出てきて、「違っていてくれ……!」とこっちが祈るような気持ちで見ていました。みんなが煕子殿を元気付けようと明るく振る舞っている事で、みんなに愛されているんだなぁと感じました。

また、息子の十五郎が病魔から母を守ろうとして手を広げている姿も健気で良かったです。優しい子に育ちそうですね。

築山殿がだいぶ悪そうな感じに

家康の正室である築山殿は今回は悪そうな感じで描かれていました。家康の側室が産んだ子供が女の子だったらめちゃくちゃ喜んだりと、家康も「なんだこいつ」くらいの勢いで見ていましたね。

直虎の時は家康と築山殿は割といい関係性だった思い出がありますが、これは家康自身が仕組んで事件を起こしていても「ですよねー」感があります。冷え切った夫婦関係が……。

光秀と煕子殿、家康と築山殿の関係が対比的に描かれているのも今回の注目ポイントかもしれません。

光秀の腕の中で

みんなが盛り上げてくれた祭りのあと、ひとり廊下で余韻に浸る煕子殿。花びらを拾い集めている姿は、昔子供たちの頭から花びらのシャワーを舞い散らせていた姿を彷彿とさせます。光秀は心配そうに見守っていましたが、中に入ろうとも言わず、二人で月を眺めることに。

光秀がプロポーズをする前に煕子殿からもらったホッカイロを見せたり、過去の思い出を語り合ったりと、もうここまでくると視聴者的にも察してしまって、幸せそうな姿が逆に涙を誘ってしまいます。

「麒麟を呼ぶのがあなただったらと」なんて光秀に願いを託しているのもグッときます。

リアルに光秀の腕の中で息を引き取ったかどうかは定かではありませんが、ドラマ的には煕子殿は幸せなままいられたのではと、辛いけど笑って見送りたくなるようなシーンでした。

まとめ

信長が無茶を言っているシーンは本能寺のフラグを感じ取りましたが、煕子殿のシーンで全て持っていかれました。放送後の解説で、煕子殿の葬儀に光秀が出席していた話を聞くと、夫婦仲も良かったことが伺えます。

お寺の欄間に麒麟の意匠があるのもドラマとマッチしていて素敵でした。