麒麟がくる第十六回感想「大きな国」もうこれ道三が主人公だな?
とどでございます。
高政と道三がぶつかり合う、美濃にとってはとんでもなく大きなイベントがやってまいりました。あまり表に出さないものの、家族を大事にしていた道三が負け戦とわかっていても高政と戦をするのはよほどの覚悟ですね。
来週の予告では道三と高政の一騎討ちがチラッと見え、超クッソ激烈に熱い展開になりそうです。美濃編のクライマックスがやってくるのが楽しみやら寂しいやらで複雑な気持ちです。
そういえば光秀が主人公でしたが、どちらにつくかは大きな分かれ目になりますね。ただより広い視野で物事を見ることができている道三が「そなたなら信長とともにできるやもしれぬ。誰も手出しができぬ大きな国を作るのじゃ」と思いを託してくれたのを見ると……。戦で勝ったとしても未来が見えない高政の味方にはつけませんね。
新しい国と大きな国
高政と道三では美濃をどのように導きたいのかスタンスの違いが明確でした。
高政は美濃という単位で物事を見て、美濃の国衆たちが持っている領地の生産能力を明らかにして政治を行って行こうと考えていました。
道三は美濃というくくりではなく、誰も手出しができない国を作ることを考えていました。そのためには美濃だけではなく尾張と手を組みますし、近江や大和もひとつになるところまでロードマップに描いていました。
スタンスに加えてスケールも違っていましたね。
高政は高政で政策面だけ見ると別に悪くないのですが、歴史を知っている立場だと「もうちょい大局的にみようぜ」と思ってしまいます。
道三が父親から受け継いだ「大きな国」という考えが高政まで受け継がれていないのはちょっと寂しいですね。親子ではあっても理想は受け継いでいないというのは、普通の人では当たり前のことであっても、為政者の立場だと影響が大きくなりそうです。
その結果が長良川の戦いと考えると影響出まくりでした。
帰蝶様はお怒り
孫四郎が高政に暗札されたことに激しくお怒りの帰蝶様。家族間で血みどろ生活をしていたらそりゃ嫌ですよね。
ただ帰蝶様も外から煽っていたので、完全に責任が無いわけではありません。その点は光秀もしっかりと言っていましたし、信長も「帰蝶の気持ちももっともだが明智の言うことも分かる」と理解のある夫でした。
感情だけで突き進んでは、回り回って道三の命を危険に晒すことになりますから、周りから止めたのかもしれません。当然の権利のように美濃に間者(スパイ)を送り込んでいるのには笑うしかありませんでしたけど。
ただ弟が頃されて冷静になれってのも無理な話です。なんらかの感情はあったとしても、そこは押し留めて為政者の立場としてアクションを起こさないといけないのが守護代の家の辛いところです。
その後伊呂波太夫を探して道三の逃走経路を確保したあたりはさすが帰蝶様という感じでした。
雪斎さんまさかのタイミングで
駿府では今川義元の重臣である太原雪斎が病に斃れました。こんな情報が漏れたら隣国が「今川攻めるの今でしょ」となるのは火を見るより明らかなので、情報を持っている東庵先生と駒さんは寺から出れないようでした。
この寺には家康もいて、退屈を感じつつも元気にしているようでした。
家康は駒さんに興味津津でしたが、駒さんは美少女設定なんですかね。秀吉からも菊丸からも言い寄られている感じでしたし。立ち位置がまだ明確で無いのでこの後どこに流れ着くのか楽しみです。
このシーン、家康が煮豆を食べていたのですが、真面目な話をしている時に皿の汁が溢れそうになっていたのが気になりました。結構危ないレベルで汁がお皿の淵からこんにちはしそうだったのでヒヤヒヤしました。
あと菊丸と話しているシーンでも家康は「薬屋か」と他人行儀でしたが、この家康は幼い頃から頭が良いので、東庵先生や駒さんがいる状況だからあえてそっけないようにしているようにも見えます。子供の頃に薬のカゴに隠してくれことまで覚えてそう。
光安の踏ん張り
領地を安堵してもらうために光秀の叔父である光安は高政の元に向かいました。おどけて踊りを披露しつつ、今の明智の領地をそのまま治めるようにしたかったものの、高政は領地がえを検討していました。
広い場所に移るとはいえ、亡き兄から託された領地を守れないのは武士として辛いでしょうね。
叔父上はあとで「力不足で領地を守れなくて申し訳ない」と光秀に謝るのですが、命を預けたいと思わない高政に対してあそこまで頭を下げてプライドまで投げ捨てて踊りを踊るというのはなかなかできることではないように思います。
兄との約束を守るため、いずれ光秀に領地を受け継ぐため、できることを模索した叔父上は立派だと思います。国衆たちから心ないことを言われても、甥っ子のために耐えた光安すごい。
最後に飼っていた鳥を逃して道三の元に駆けつけるところもかっこいいです。負けると分かっていても、筋を通す姿は素敵でした。
その方が通りが良いから
高政は本心では道三が父親であると思っていても、「土岐家の流れを汲むと言った方が通りが良いから」と対外的には土岐様が父親であると言い張るようでした。
美濃の支配者として正統であることを知らしめるには、「土岐家を追いやって美濃を支配した道三を追い出し、土岐家の流れを汲む自分が美濃を治める」というストーリーがあった方が確かに「なるほどなー」となりますもんね。
今回光安の領地を安堵する問題では、光安に隠居してもらって光秀が家督を継ぐように考えていました。内政面では道三が美濃以外を視野に入れていたのに対し、高政は美濃自体を豊かにする策を考えているので、より地に足ついた合理的な考えなのかもしれません。
特に荘園制度のおかげで土地の内情が分からないのを「どれだけ作物が取れるのか」と数値化して国力を測ろうとしているのは商人としての才能を受け継いでいるように思います。
家族に対しては感情的になる道三に対し、使えるものはなんでも使おうとする高政はマムシ感マシマシです。
家督を譲る相手を間違えた
ついに道三が大桑城への召集をかけました。数の上では不利にもかかわらず、弟を手にかけた高政を糾弾すべく戦を起こすようです。
「譲ってみなければ分からない」「何が正しいかは誰にも分からない」と言っていた道三がはっきりと「家督を譲る相手を間違えた」と言ったあたりに覚悟を感じます。
夜になって道三を止めるためにやってきた光秀に「戦支度もせず何をしにきた」と言いながら胸中を吐露するのはある種信頼を感じます。このシーンで光秀が道三に声をかける際、「十兵衛でございます」ではなく「光秀でございます」と諱(いみな)で語りかけるのもエモいですね。
諱は普段使う名前ではなく、父親や主君が呼ぶときの名前。このドラマでは「十兵衛」で通しているので、自分から「光秀」と名乗って殿に呼び掛けたということは、道三こそ自分の主君だという現れなんだと思います。
まぁ普通に隠居した後の道三に対して「殿」って呼び掛けているので、心の中ではずっと道三に仕えている意識だったんでしょうね。
道三は以前家督を譲った理由を聞かれた時に「高くつく」とはぐらかしていたのですが、このタイミングで「衰えを感じたから」と正直に話してくれました。
「正直」が今回のポイントで、「人の上に立つ者は正直でなくてはならぬ。偽りを申す者は必ず人を欺く。そして国を欺く。決して国は穏やかにならぬ」と道三が大切にしていることを教えてくれました。光秀に対しても「そなたは正直者だ」と評価してくれていることがわかります。
光秀は以前「殿のことは正直嫌いです。でも恩義もあります!」と「嫌い」ってはっきり言ったこともありましたね。高政は道三が父であると思っていながら、自分のために「土岐様が父だ!」と喧伝しているので、いつか国を欺くようになると危惧しているようです。
夜が明けて後光が差してくるシーンで「そなたなら信長とやれるかもしれぬ」と想いを託すところは胸が熱くなりました。
敵は高政様!
道三が「さらばじゃ!」と出陣していったのを見送って、明智荘に帰ってきた光秀は叔父上が道三の元に向かったと聞かされます。
光秀の立場からしたら恩義のある人か親友のどちらかに刃を向けなければならないのですから、「わしはいかん!」と決断できなくても無理はありません。
ただ鉄砲を見つめて過去を振り返り、自分の理想とする麒麟がくる国を考えた時、国を欺く領主で良いのかと自問し、高政を敵として戦うことを決めました。
兵力で劣る上、長年の親友と戦う決断をするのは辛いですね。場合によっては明智一族が消える可能性だってありますから。
まとめ
光秀の人生にとって大きなターニングポイントとなる長良川の戦いが始まってしまいました。当時の光秀からしたらここで人生終わってもいいくらいの覚悟で戦いに臨んだのかも。
予告でチラッと出てきた道三と高政の一騎討ちシーンは美濃編のクライマックス感があります。
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