麒麟がくる第十七回感想「長良川の対決」道三ロスと父の名は

2020年5月11日

麒麟がくる

とどでございます。

高政と道三が戦を始め、長良川で戦う事に。兵の数で劣る道三は、馬で駆けて高政と一騎討ちに持ち込みました。槍を持って馬で駆けていく本木さんカッコ良すぎませんかね。

このシーン、何度も「そなたの父親は誰だ!?」と高政に問い続けているのが切ないですね。為政者の立場からしたら「人を欺く者は国を欺く」の考え方から国を任せておけませんし、父親の立場からしたらずっと「お前なんか父ちゃんじゃないやい!」って言われ続けているんですからね。子供にこんな事言われたら泣いちゃう。

結局高政は「道三が父親」とは一度も言わないまま道三を討ち取ってしまいました。しかも自分の手ではなく家臣の手で。最期は息子の胸に倒れ込んで逝けただけでも良かったのかな。

遅れて駆けつけた光秀も「そなたの父は?」と問いかけますが、高政は頑として「土岐頼芸さまだ」と欺き続けました。うーん切ない。

高政はこのまま嘘を吐き続けなければならないので、ある意味ではかわいそうですね。

信長も駆けつけたけど

尾張もピリピリムードではありますが、信長は道三を助けるため美濃に向かいました。高政が早期決着を目指していなかったら間に合ったかもしれないと思うと辛いですね。

信長の立場からしたら妻の兄と戦う事になるんですね。妻に対して「お前は余計なことすんな!」と牽制してくる義兄って考えると、信長としてはめっちゃやる気出そう。

道三とはお互いに腹割って話した間柄でもあるので、助けられなかったのは結構引きずりそうです。

帰蝶さまは道三討ち死にの報告を受けたときに涙を流したものの、すぐさま次の手を打つために伊呂波太夫を呼び寄せました。予告を見るに、明智家が越前へ脱出するをサポートしてくれる感じでしょうかね。帰蝶さまはこういう切り替えが早くて強さを感じます。

父の名は

今回のポイントとなったのは高政がみんなの前で自分の父親の名前を言うこと。実際にどうであるかはさておき、「道三」と高政自身が言うのか、「土岐頼芸」と偽り続けるのか、ここが分かれ目でした。

父親と戦になって、兵力的には高政の方が断然有利な状況なので、普通に戦えば道三を討ち取る事になります。お互いに考え方か違うとはいえ、封建的な武家社会において父親を討ち取るのは聞こえが悪いので、高政は「道三は父親じゃない」と言い張り続けます。

土岐頼芸を父としておいた方が、出自の点でも聞こえは良いのかもしれません。道三は油売りの子、一方土岐頼芸は源氏の流れを汲む正当な武家の血筋ですから、美濃を治める上で箔をつけておきたい気持ちもあったのかも。

ただ、道三からすると、先週光秀にも言っていたように「人を欺く者は国を欺く」という考え方なので、自分の出自を偽り続ける高政がいつか美濃の人々を裏切る事になると危惧しています。

頑なに「父の名を申せ!」と言っていたのは、道を外れたことをしないように親として導いていたのかもしれません。戦を始めた契機となったのは高政が孫四郎たちを手にかけたことでしたが、一騎討ちの場面ではそれには触れず、高政が偽らないことだけを周りに知らせたかったのかも。

その思いは届かず、高政は家臣たちの前で「父は土岐頼芸」と言い張り続け、道三を討ち取ってしまいました。

最後まですれ違っているのが切ない。

光秀もお別れ

光秀が一騎討ちの場に駆けつけたときには、もう決着がついていました。

光秀に対して「お前はつく相手を間違えた。だがこれから尽くすならそれも忘れよう」なんて言う高政。光秀からも「そなたの父は誰だ?」と問われました。

光秀も道三から「人を欺く者は国を欺く」と言う話を聞いていたので、確かめたかったんですね。道三が亡くなっても「父親は土岐頼芸様。危うくマムシの策略に乗って父親を討ち取った汚名を着せられるところだった」の一点張りで、光秀も見限ったようです。

「土岐様とお会いして、立派な人だと思ったことは一度たりともなかった」と言い放つあたり光秀の覚悟を感じます。

「土岐様もお主も、立派なものではない。主君として立派だったのは道三様だった」という追い討ちも見事。この場で斬られても文句言えないセリフですが、なんとか引き上げることができました。

光安の覚悟

明智城に戻った光秀は叔父の光安と再会しました。光安は城主の席に光秀を座らせます。

光秀を逃すことを決めていたので、城を出る前の短い時間だけでも明智城の城主になった姿を見たかったようです。

光秀の父から受け継いだ御旗を渡し、落ち延びるように説得しました。光安自身はそのまま城に残って追ってと戦うようです。

「後から追いかける! また会おう!」と涙ながらに送り出す様子は光安の覚悟を感じました。光秀ではなく道三を追いかける覚悟ですね。

お互いにもう会えないだろうということは察している中での「また会おう」はグッときます。

伝吾たちともお別れ

自分の屋敷に戻った光秀は「逃げる! それが叔父上の命令だ」と告げました。

武士としては主君の仇をなんとしてでも討ちたい気持ちがあるかもしれませんが、それをグッと堪えて光安の思いを胸に逃げる決意をしました。

おかんは「残る!」と考えていたものの、伝吾たちの説得によって一緒に逃げてくれる事になりました。光秀が煕子どのとアイコンタクトで意思疎通しているのは、こんな場面ですがいい夫婦だなと思いました。

伝吾たちは農民ではありますが、時に田んぼを耕し、時に光秀と一緒に戦った掛け替えのない存在です。代々守ってきた田んぼを置いていくこともできず、光秀とはここでお別れする事になりました。

自分の子供のように面倒を見てきた田んぼをおいて逃げるのは辛いですもんね。いつの日か明智家が戻ってきたときのために、明智荘を守っていくと言ってくれました。

物語後半で再会シーンがあるといいなぁ……。

まとめ

美濃編の最大の山場、長良川の戦いでした。史実だと混戦で道三が討ち取られたような記述がありますが、かっこいい一騎討ちのシーンが見られて良かったです。

マムシマムシ言われていましたが、人間味のある道三様だったので道三ロスでちょっと引きずりそう。

次回は越前の方面に逃げるようです。伊呂波太夫がサポートしてくれているのを見るに、彼女はとても優秀なエージェントですね。