麒麟がくる第十一回感想「将軍の涙」ラスト5分がめっちゃ熱い

麒麟がくる

とどでございます。

ラスト5分、武士のトップである将軍・足利義輝が「麒麟がくる国にする」という光秀と同じ理想を追いかけていたことが分かりました。

将軍の立場にいても、家臣たちをまとめることができず、争いを続けてしまっている状況に悔し涙を見せる義輝の姿にはこちらもうるっときました。

大人になって、できることが多くなってきたはずなのに、力及ばなかったあの悔しさを義輝が感じていることや、それを家臣の前で見せる勇気に「一生ついていきます」と忠誠を誓いそうになりました。

帰り道で歩きながら涙をこぼす光秀の姿も良かったです。

竹千代の人質交換

竹千代は堂々とした様子で今川の元に送られました。今川義元の前にいても、己の敵をしかと目に焼き付けるかのように見ている様子は強さを感じます。

義元の方も、優しく諭すような雰囲気を出しつつも、ちゃっかりと竹千代を戦の理由として使っているあたり一筋縄ではいきませんね。

直虎の時にのほほんとしていた竹千代とはまた違った雰囲気です。今川義元もめちゃくちゃ戦強そうな感じしますし、これまでの公家っぽさがないとイメージ変わりますね。

国衆は今川と戦うつもりなし

織田と今川で戦になったことで、織田と同盟関係にある美濃も手助けをしなければならない状況になりました。しかし、国衆たちは「道三が勝手に決めたことでしょ。うち稲刈りあるから無理っす」と協力してくれない様子。

織田が落ちたら次は美濃が狙われる状況ですが、道三を蹴落とすための作戦のようです。今回のテーマでもありますが、内紛で争いが起こっている状況は美濃内、将軍の家臣である今川と織田、細川と三好と、様々な部分で共通しています。

結局美濃からは「米は送るが兵は送らない」となりましたが、こんなこと伝えたら相手がブチ切れるのは自然な流れ。なので織田信長とも面識のある光秀が使者として送られることになりました。

光秀は周りに振り回されることが多いですね。

目の前でいちゃつきを見せられる光秀

使者として織田の那古野城に向かったものの、案の定平出さんには怒られました。しゃーなし。

平出さんが出て行ったあとは信長がやってきて状況を説明してくれました。平手さんも「織田がヤバイ状況なのに」とぽろっと内情をこぼしてましたが、織田家の人々は結構情報を流してくれますね。

光秀に状況を教えてくれたあと、「どーすっかなー」なんて悩みながら、信長は帰蝶様の膝枕でいちゃつき始めました。帰蝶様に片思いしていた光秀からすると複雑な気持ちなのかもしれません。見てていいのかな? でも目をそらすのもアレだし……みたいな葛藤が見て取れました。

そんないちゃつきを見せられつつも、美濃の御家騒動の経験から、将軍家に和議を取り持ってもらうことになりました。誰が使者になるか……となったらやっぱり光秀が京に送られることに。光秀の顔の広さが生きましたね。

部下のコネを使ってでも、最終的に戦を止められればOKですもんね。RPGのお使いイベントみたいになってきました。

ん? 今なんでもするって

織田家での出来事を道三に伝えると、「将軍家に取りなしを頼むには大金がかかる。誰がそんな大金を出すんだ! わしは出さん!」とヘソを曲げてしまいました。

将軍家にお金を渡すのは単なる心付けだけではなく、和議の通告を完遂してもらうための人件費なんかもありますから、無料でやってもらうわけにはいかないんですよね。手紙を届ける使者の安全を確保する必要もあるから何人か出さないといけないですし、人が出張している分、将軍の警護だって固めないといけませんから。

戦国時代の金1枚で10両、1両が約75,000円で計算されることが多いそうなので、将軍家に金3枚払うとすると、約225万円。ポケットマネーで払うにはちょっときついですね。

道三がお金を出してくれないので土岐頼芸さまを頼ることに。光秀は直接会いにいける立場にないので道三の息子である義龍に協力をお願いしました。このお願いで出てきたのが「お主の言うことを何でも聞くから頼む!」のセリフ。

「何でもするか?」の義龍の問いに「おう!」とノリノリの光秀はちょっと可愛かったです。信長、道三と気を使わなければならない人たちに会ったあとですから、友人の前で軽いノリになったのかも。ただ、「何でもする」という約束はこのあと大変なことになりそうですね。

土岐頼芸さまは紆余曲折を経て将軍家に手紙を描いてくれました。道三が嫌いなだけで仕事は速いし頼めばやってくれるしでめちゃくちゃいい上司ではあるんですよね。これも道三を排除しようとする流れではありますが、今回は利害が一致しているのでありがたいです。

ただそのためのお金として「金10枚!」と請求されて目をひん剥いている頼芸さまはシュールでした。金10枚は約750万円。これを個人で出すのはさすが守護。光秀もやけくそで請求している感があります。

将軍の涙

三好長慶の手の者が徘徊する中、将軍のいる場所を目指す光秀。途中、宿で細川藤孝と再会しました。今回は人との繋がりを頼りにどんどんイベントが進んでいきますね。こうしたコネはとても大切です。藤孝のおかげで安全なルートで将軍のいる朽木にたどり着きました。

「十兵衛、お前に会うのは三度目だな」なんていきなり言われて困惑する光秀。光秀の視点だと、本能寺前で会った1回だけですが、2回目は三好長慶襲撃事件のときに三淵さんに協力を要請した時に襖越しに将軍が声を聞いていたのでした。

この2回目の時に言った言葉を足利義輝は覚えていてくれました。武家のトップが、一地方である美濃の若武者の言ったことを一字一句のレベルで覚えているとか、ビビりますよね。「この立場になると叱ってくれる人もいないから」と言っていたので印象に残ってたんですかね。

今回の最盛上がりパートはこのシーン。義輝も父親から平かな世になれば「麒麟がくる」と聞かされていました。ここでタイトルコールは熱いです。

光秀が麒麟の存在を駒さんから聞かされたのも京でのことだったので、京で伝わるお話だったんですよね。

麒麟がくる国にする、という同じ理想を目指している義輝と光秀のリンクが素晴らしかったです。

理想を掲げながら、将軍という立場であっても争いを止められない自分の力不足に悔しさを噛み締めている様子に思わず泣きました。向井理さんの下顎を震わせる演技がもう心に刺さります。アレはヤバイ(語彙力)

「麒麟がくる道は遠いな」と光秀に漏らしたのも涙腺にきました。将軍へのお願いを終えて、美濃に帰る途中の光秀が涙を拭っている姿で一緒に泣いたのは内緒です。

まとめ

ひとり敵地に送られた竹千代は泣かずに敵の目をじっと見つめている一方で、大人であり武家のトップである足利義輝が涙を見せるという逆転現象が興味深い回でした。

お使いとしていろいろなところに送られる光秀でしたが、その分多くの人と親交を深めていく姿は新しい光秀像だと思います。

次回はいよいよ光秀が結婚するようで、予告でプロポーズしていました。幼い頃にした約束と同じセリフでプロポーズするとかコテコテだけどめっちゃ好きです。