麒麟がくる第三十一回感想「逃げよ信長」光秀、麒麟の声を聞いたってよ
とどでございます。
よっしゃ朝倉ぶっ潰すぞー! と意気込んで越前を攻めた信長でしたが、浅井長政が裏切って朝倉側についたことで撤退を余儀なくされました。
光秀と秀吉で殿(しんがり)を務めて信長を京に逃しましたが、秀吉は命をかけて頑張ったのに信じてもらえず、信長も意気消沈という有様。
光秀が帰ってきて信長にかけた言葉が「麒麟の声が聞こえました。『信長には次がある』と言っていました」というものでした。ガチで聞こえたのか、信長に再起を促すために話を盛ったのかは分かりませんが、信長は再起を目指して立ち上がりました。
ここまで信長を立てている光秀が本能寺するとは中々思えないので、別の誰かの思惑で嵌められた感じになるんですかね?
意気揚々と朝倉討伐!
意気揚々と織田軍で越前を攻めにいきました。口実として討伐対象となった若狭のなにがしはどんな心境で討たれたのでしょうか。
それはさておき連日の快進撃で盛り上がる織田軍でしたが、家康も松永殿も訝しんでいる様子。金ヶ崎城に至っては普通に明け渡してくれたこともあり、「これは罠だ!」と警戒するのは自然なことです。
それにしても家康は幼い頃に光秀とあったことを覚えていてくれたんですね。当時だと光秀は何歳位だったんでしょうか。当時10代後半から20代前半だったなら、30過ぎてもそこまで顔も変わっていないから覚えていることも有り得るかもしれません。家康の方はもう別人レベルで見た目が変わってましたけど(笑)
当時もらった干柿のことをずっと覚えていてくれたのは光秀にとってもうれしかったんじゃないでしょうかね。
浅井長政ってかまいたちの
浅井長政役の方はぱっと見かまいたちの山内さんかと思いましたが別の人でした。浅井は信長の妹であるお市と結婚していて、信長には手を出さないだろうと思われていました。
しかし、結婚にあたって信長に「朝倉には手を出さない」という条件を出していたようでした。それが破られてしまったことにより、浅井は信長に弓引く結果に。
お市としては実の兄と対立することになりますが、結婚した以上は浅井家の人間だという長政についていくことに。お市の心境を考えると辛いところです。
信長「ゔぁあああ!!!」
浅井の蜂起を知らされた光秀は信長にそれを報告しました。浅井が来るとなると挟み撃ちの形になってしまうため、光秀は逃げてくださいと進言します。
蹴り飛ばされようともなんとか生きてほしいと伝える光秀によって考えを決めてくれたのか、信長は「ひとりにしてくれ」と告げました。
光秀が軍議に戻ると、そこに聞こえてきたのは「ゔぁああああ!!!!」という咆哮。柴田勝家は「誰だよこんな時に! 誰か黙らせてこい!」みたいなノリでしたがその声を出しているのはあなたの殿です。
このシーンは信長役の染谷さんの叫ぶ演技が凄かったですね。お市の方と結婚したことで裏切らないと思っていた浅井長政が蜂起してきた怒りや悲しみがないまぜになった叫び声でした。叫んでいる時点では逃げるか戦うかまだ決めかねていたのかもしれません。下手したら自分で妹を討つことになることを考えたら落ち着いてもいられないでしょうね。
軍議に戻ってきたときの「スン……」という感じがまた信長の感情の落差を感じていい味出てました。
秀吉の懺悔
信長が逃げるにあたっては、「逃げてください」と進言した光秀が殿を務めるのは自然な流れ。そこに秀吉が「自分にも殿を命じてくだされ」と待ち構えていました。
ここから秀吉が妹の分の芋を食べた(言葉を切っていたので明確ではないですが)ことの懺悔をしていたのですが、以前のようなおちゃらけた面は全くなく、誰かに罰してほしいと自分を責めるような様子でした。
殿は多くの場合命と引き換えになるので、信長を守って命を落とすことで妹に報いたいと思っていたのかもしれません。信長にとっても妹を討つかどうかの瀬戸際でしたが、こちらは退くことで妹と戦うことを避けました。この部分は信長と秀吉で対比的な部分かもしれません。
光秀の覚悟
殿を務める光秀が感じたのは、「戦を無くすために戦をしなければならない」ということ。誰も手出しができない大きな国を作れば平穏が訪れると聞いていた光秀でしたが、現状は将軍が武将同士をまとめられず、戦が絶えない状態でした。
左馬之介にもそう伝えていましたが、武士として生まれた以上、武士なりのやり方で平穏を求めるようになるのかも。
この点は武士じゃない人とは対照的で、例えば伊呂波大夫は「武士で潰しあってみんな滅べばいい。そうすれば世の中は平穏になる」というRPGでよく見かけるラスボスみたいな考え方をしていたのでした。武士としてなんとか麒麟がくる世の中にしたいと思っている光秀との違いが興味深いです。
おや? 公方様の様子が……
朝倉討伐に失敗した信長が帰ってきたことで、摂津はテンションアゲアゲ。嬉々として将軍である足利義昭に報告します。
義昭も恩があるとはいえ、信長から手紙で「ワシのいうことを聞くように」なんて言われていたことを気にしているようで、摂津が提案する朝倉とのコネ作りにも「良きにはからえ」と言ってしまったのでした。義昭からしても摂津は完全に白とは思っていないような気もしますが、それでも一定の信頼はあるようです。
光秀を応援しているせいか、信長との敵対ルートに進もうとしている義昭が「良きにはからえ」と摂津に丸投げした挙句、駒さんに会いにいくのは中々嫌な気持ちになります。駒さんの前では「信長殿は御所の壁を直していたが、弱き者を助けるのが先ではないか」と言っていますが、信長との関係はどうするのでしょうね。幕府が御所の壁を直さないから信長が身銭を切って直したんでしょうし。
義昭様本人も自分の身の振り方を考えているようで、信長が主体になるか、摂津が主体になるか、ではなくて自分が弱き者を助けるために立ち上がりそうな気配もあります。予告では僧侶出身とは思えない仕上がりの体を披露していたので、義昭様自信が刀を手に立ち上がるのかも?
信じてもらえない秀吉
殿を務めて無事生還した光秀は、先に帰投していた秀吉と再会しました。お互いに再びあいまみえることができてよかった……と思いきや、先に帰った秀吉は「お前逃げ帰ったんじゃないのか?」と嘘つき扱いされていたようです。
農民出身の秀吉は信長のお気に入りとはいえ、他の家臣たちから見たら嫉妬の対象になるのかもしれません。
光秀は織田家の家臣でないにもかかわらず、いやむしろ織田家の家臣ではないからこそ、秀吉の頑張りをしっかりと証明してくれました。秀吉とは利害関係がないはずの光秀が証言することで信憑性が生まれますからね。命を懸けて頑張った人が報われないというのも光秀のいう麒麟がくる国ではないのかもしれません。
この秀吉が本能寺後に光秀を討伐しにくるのは信じたくないですが……どうなるか気になります。
信長には次がある
殿を務めて帰ってきた光秀は信長にご挨拶。頑張って帰ってくる途中で「信長には次がある」という麒麟の声を聞いたと伝えます。
この麒麟の声が本当に聞こえたのか、それとも信長を励ますために作った話なのかは定かではありませんが、信長はこの言葉で元気になりました。
うまくいかなかったことを報告するのはマジで胃が痛いもので、しかも褒められた後にミスった報告をするのはなおのこと辛いので、先延ばしにしたい気持ちはわかります。現代だと先延ばしにするとさらに痛い目を見るので早めにごめんなさいしちゃうのですが、信長の場合は下手したら武士の誇りを守るために切腹も見えてきているので中々言えないのも分かる気がします。
そこに光秀が「次がある」とアドバイスをしてくれるのは渡りに船です。光秀自身には何の権限はなくとも、気持ちが楽になるだけでもありがたいものです。
今回光秀が「麒麟の声が聞こえた気がする」と言ったのは、麒麟が近づいてきたことを示しているのかもしれません。
まとめ
信長のピンチを救った光秀は麒麟の声を聞いたようです。今回の大河ドラマの主題である麒麟が近づいてきたのかも。
来週は義昭様が立ち上がるようですね。幕府を食い物にする摂津とぶつかるのも近いかも?
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