直虎19話。罪と罰、盗人を裁かないと割れ窓理論でモヒカンがヒャッハー!
とどでございます。
にゃん渓和尚が出るようになって良かった。あの子は癒し。
さて、今回のサブタイの元ネタは言わずと知れたドストエフスキー。誤解を招きそうな表現だけど、「今まで良いことをしてきたんだから、1回ぐらい悪いことをしてもトントンだよね」とか、「選ばれた人間なんだから、社会的通念をぶっ飛ばした結論を出してもいいよね」みたいな考え方を持った人が主人公の小説。
今回の話の構造と似ていましたね。今まで直虎にアドバイスをしてくれたから助けよう、選ばれた人間(領主)だから、通例とは異なっても貫いちゃおう、みたいな感じの発言がありました。おとわ様マジラスコーリニコフ。ラスコリさんはもうちょい葛藤してましたけど。
「今まで良いことをしてきたんだから、1回ぐらい悪いことをしてもトントンだよね」みたいな考えは、「自分を変える教室」のケリー女史が言っている「罪のライセンス」みたいな考え方ですね。あっちはダイエットが例に挙げられていましたけど。物理的にも、精神的にも、バランスを取りたがるのが人間なのです。
こんな真面目な話をしていますが、最初にこのタイトルを見たときにはペルソナ2の罪罰が思い浮かびました。罪のジュブナイル感も良かったけど、罰の大人な感じも捨てがたいところ。噂が現実になるのが面白かったです。
又吉万能説
収穫できた綿花を加工して布にする、という甚兵衛。綿花の生産のために合流した又吉がその手法を知っていたようです。
布への加工までを井伊で行えるとなると、アパレル業界の川上産業を押さえることになります。上手くいけば、市場に流す布の量を調整して大きな利益を上げることができます。彼らはそんなことしないでしょうけど。
それにしても、又吉に任せておけばなんとかなる、そんな雰囲気が出始めました。中途採用であれだけの人材を迎えることが出来たら万々歳です。社内の技術的イノベーションです。
またよし、ではないです。念のため。
近藤康用の訴え
お前さんの所の人間が木を盗んだんじゃないか! と訴え出たのは近藤康用(やすもち)。今川からの目付です。彼の訴えを不服として、現場改めに向かいました。
組織のボスが現場を改めに行くのは、結構やばい状況。現場からの報告だけじゃ対処できないってことですからね。
現場に行ってみれば、近藤康用の領地だけでなく、井伊の領地も木を盗まれていました。「これもお前が仕組んだことだ!」なんて言いがかりをつける近藤ですが、疑いに囚われてはそう思っても仕方ありません。
仲裁する六左衛門は胃が痛い思いでしょうが、六左衛門のような調停役の人がいないと組織はうまく運営できないでしょう。彼は重要な役どころなのです。
柳楽君の役名はまだ明かされず
名前、まだ出てこないんですね。3話くらい引っ張ってます。
ここまで引っ張るなら、有名な人に違いない! なんて期待もありますが、噂ではオリジナルキャラなんて話も。
視聴者のおっちゃんたち、ついて行けるのかしら。
あ、直虎の正体を知った後にすり寄らず、むしろ直虎の不利にならないようにふるまったのは良かったです。
冥途の土産は生存フラグ
「冥途の土産に聞かせてくれよ」みたいなセリフを吐いたキャラって大体生き残ってますよね。生存フラグのひとつです。
今回も、柳楽君は傑山さんに「冥途の土産に」なんて感じで話しかけて情報を得ていました。
立場に囚われない破天荒なキャラクターというのは少女漫画につきもので、しばしば主人公の心を奪っていきますが、今回はまだ柳楽君の生き方をおとわが聞いていないのでセーフです。
彼の存在に危機感を覚えたのか、政次と中野のゆきぴょんは排除の方向で進めようとしました。確かに盗人を裁かなければ規律が保たれないので、しょうがないんですけど。
桓騎将軍的な
柳楽君は、隠し持った吹矢で六左衛門を眠らせました。牢の中にいるのに水筒を持っていた時点で、「あ、武装解除してないな」ってのはあからさまだったんですけどね。
お頭! っていうのを聞くと、キングダムの桓騎将軍を思い出します。こっちも盗賊団の首領っぽいし。
オリキャラっぽいけど、井伊の家臣になったりするんでしょうか。扱いが難しそう。
桓騎将軍は漫画では野党のボスみたいになってますけど、資料だとそんなことはなく、普通に秦の国の将軍です。そのはず。
桓騎将軍みたいに、史実の家臣のバックストーリーを膨らませた、みたいな感じだったらすごく面白いけど、その辺は今後に期待。いっそファンタジー大河でも。
直虎での柳楽君の扱いやいかに。
方久の動き
についてはうっかりするとブログでできない話になりそうなので割愛。NHKでなんつー話をしとるんじゃ。
エンドのお客様からせっつかれる様子は共感できましたけどね。
盗人を裁かないと割れ窓理論に
いくら知り合いだからと言って、徒党を組んで木を盗んだ輩を許してしまえば、「井伊だったら盗みを働いても裁かれねーぜ!」と北斗の拳的なモヒカンたちが集まってしまうことでしょう。
一か所のゆるみがさらなる綻びを呼んでしまう、割れ窓理論です。
割れ窓理論は、ある建物の窓が割れている→割れたまま放置されている→管理されていない建物→入り込んでも怒られない→ヒャッハー! といったモヒカンを呼ぶ理論だというのは有名な話。
だからこそ、井伊を守るために、こうした罪にはしかるべき罰を与えないといけない、というのはごもっともな話。政次の言う通りなのです。
今回の孫子は謀攻篇から
「故に善く兵を用うるものは、人の兵を屈するも戦うに非ざるなり」のあたり。「敵を知り、己を知れば百戦危うからず」と同じカテゴリーの謀攻篇に書かれています。
敵の国の宰相を従わせる、なんてのは城攻めで血を流すのではなく、戦わずして行うのだ! という点です。その部分を引いて政次に訴える直虎でした。
力こそパワー! なんて解決法では、政次も傾倒している孫子の考えとは離れているよ、と言いたかったのでしょう。
ただ、そこは正論ではあっても、その後の政次のセリフの方が納得感がありました。
もし助けたあの男が虎松を攫ったら? 瀬戸村を襲ったら? なんていうリスクを提示。助けた男が主人公の伯父を襲った、なんてのはスパイダーマンで見たような。
スパイダーマンでテーマになった「大いなる力には、大いなる責任が伴う」というのはここでも当てはまります。直虎は井伊における大きな力、すなわち権力を手にしていますが、そこには大きな責任があります。つまり、井伊谷の民を守る、という責任です。
政次はこれを指摘していました。実際、柳楽君が逃げ出さなければ、政次は何を言われようと近藤に柳楽君を引き渡していたことでしょう。
為政者は国の民を守る責任があるのです。
まとめ
政次がこう言っているから、その逆をいけばOK! というナナメ上の解釈をした直虎。六左衛門を問い詰める政次の責め方がまた面白かったです。
前回報われたように思いましたが、まだまだ直虎に振り回されています。それが政次の幸せなのかもしれないけど。
おまけ
サブタイトルの元ネタ集作りました。
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