いだてん40話感想「BTTF」やっと過去から戻って一緒に走る感じ

2020年2月15日

『ぺ』のためのオリンピック

とどでございます。タイトルは長いので略しちゃいました。

先週はラグビーW杯の中継でドラマはおやすみでした。

南アフリカ戦は手に汗握ったまま観戦していましたが、やはり南アフリカは強いですね。予選リーグで当たる南アフリカと決勝トーナメントで闘う南アフリカは別物、なんて言われていましたが、まさに強いラグビーでした。

日本の武器を使わせないスクラムハーフのデクラーク選手が強いのなんの。日本の強みをとことん封じ込める様は見事という他ありません。

欲を言えばラグビーでの『いだてん』である福岡選手のトライが見たかったです。とはいえ、予選リーグで数々の素晴らしいプレーを見ることができたので、選手たちの健闘を心から讃えたいです。初めての決勝トーナメント出場を実現したのは大きな功績ですからね。

さて、ドラマの方の『いだてん』はというと、太平洋戦争が終わり、1話からの伏線であった「志ん生の富久は絶品」のキーワードから、五りんの父親の最期が志ん生から語られたのでした。

今回は1964年の東京オリンピック招致活動の場面から始まり、過去に遡ってエピソードが語られていきました。平沢さんの協力が得られ、1話の招致スピーチの場面に繋がっていったのはちょっとうるっときました。

以前からチラッと出ていたシーンがこの年代で繋がって、この年代のまーちゃんと一緒に走っていく感じで最終章を迎えました。

今回のサブタイトル

今回のサブタイトルは『バック・トゥ・ザ・フューチャー』。1985年に公開されたハリウッド映画です。時間旅行系のストーリーのツボを押さえた映画なので、是非とも1回は見ておきたい映画。

まーちゃんがデロリアンに乗って現代の日本にやってくるとか、未来のまーちゃんが過去のまーちゃんを助けに来るとかそんな感じでしょうか。SF系大河ドラマいだてん、乞うご期待。……とまで弾けたりはしませんでした。

物語の中の時間は1959年、そこから1945年まで遡り、まーちゃんの軌跡が語られました。「今何年」の表示が数直線で出ていたのでわかりやすかったです。Google Mapの現在地アイコンみたいになっているのも分かりやすくて良いですね。このUIでもう一度第1話を再編集してもらえませんかね?

ある意味では第1話から過去に飛んでいたのが、やっと戻ってきたような感じでしょうか。ここからはまーちゃんと一緒に東京オリンピックに向けて頑張る感じですかね。

五りんが足袋で走る

冒頭、五りんは父の最期を聞いたからか、播磨屋さんで足袋を作ってもらっていました。

「親父と足形が似ているから作りやすかった」

なんて言ってる播磨屋さんのセリフにしょっぱなからうるっときました。五りんが足袋を履いて店の前から走り出す姿は、金栗先生を初め、シマちゃん、小松くんの姿と重なります。

「息子がオリンピックに出る姿を見たかった」

という小松くんのセリフが重なるのもずるいですね。このまま五りんが走りに目覚めてオリンピックに出場……! なんてなったりは……しないか。

平沢さんへの協力依頼

1959年、東京へのオリンピック招致に向けたミュンヘンでのスピーチを行う外交官がアキレス腱を切った、みたいな話はかなり初期の方で出てきました。彼の代わりにスピーチを行う人として白羽の矢がたったのが、もともと外交官をしていた経験があり、嘉納治五郎先生の最期を看取った人でもある平沢和重さんでした。おげんさんね。

今回の主題は彼にスピーチをしてもらうためのプレゼンでした。

NHKで15分解説をやっている平沢さんに倣って、まーちゃんも「15分でアピールする!」と意気込んでいたのを見て、「15分でバック・トゥ・ザ・フューチャーして、残りはスピーチで盛り上げるのかな?」なんて思っていました。「オープニングが終わったのが20:09だから、だいたい20:24までに終わる感じか」とチラチラ時計を気にしていたものの、結局30分以上まーちゃんのアピールタイム。

平沢さんが「もう30分以上経ってる」とぼそっと言ったのとシンクロして同じこと思いました。物語の冒頭で行われた招致のスピーチ、結構時間を割くもんだと思ってましたが、最後の3分くらいの駆け足になるとは。

とはいえ最初の頃の伏線が回収されたのですっきり。ここ最近で伏線回収ラッシュが続いているので最初から見ていた勢からすると嬉しい限り。

所々に嘉納先生

田畑のまーちゃんに渡したストップウォッチは随所で出てきますし、登場人物たちが「それだよそれ!」と嘉納先生の口癖を出すのもニヤリとします。

平沢さんに対するプレゼンで決め手になった「ぺ」の話は、最初の頃に嘉納先生もしていたのを思い出します。「La paix」で「ぺ」と読むなんてフランス語はなかなか奥が深い。

近代オリンピックのはしりが普仏戦争で敗戦したフランスを盛り上げるために行われた大会、というのは知りませんでしたが、太平洋戦争後の日本が復興しようとする状況に似ていると感じます。

今回のまーちゃんのプレゼンも、実は平沢さんが提示した5つの問題に一切答えていないのですが、結果として平沢さんの協力を取り付けられたあたり、「逆らわずして勝つ」の精神が見て取れます。

裏オリンピック

1948年のロンドンオリンピックは、1936年のベルリンオリンピック以来の12年ぶりのオリンピックでした。この大会は日本は参加を認められていなかったので、まーちゃんはなんとオリンピックで水泳をやっている時間に、日本でも水泳の大会を開いたのでした。

この大会で一位になった古橋廣之進を演じていたのは、まさかのリアル金メダリスト、北島康介さんでした。物語の中では自由形で泳いでいたので、本人が金メダルを取った平泳ぎではなく、クロールでの出演となりました。北島康介さんがクロールを泳いでいるのを見るのは初めてかもしれません。

泳ぎ終わった後に耳から水を抜く仕草は本人のものだったのでニヤリポイントでした。

神宮競技場が……

嘉納先生が夢に描き、そして実現させた神宮競技場の建設。1940年の東京オリンピックで使うつもりが返上になってしまい、そのまま20年近く経ちました。

いろいろな思いの詰まった神宮競技場でしたが、1964年の東京オリンピックを迎えるにあたって老朽化も目立つようで、まーちゃんは「壊そう」と心に決めました。

嘉納先生の夢が詰まっていた施設を壊すのはいくらまーちゃんといえども心苦しいでしょうが、その先にある夢の東京オリンピックのために国立競技場を建設しました。

考えてみればこの時建てた国立競技場も50年近く使ってきたんだからすごいですよね。工期が短い中建てられたなんて話がありましたが、それで50年使えるってビビるわ。

(余談) 筑波大学が久々の箱根駅伝出場へ

本編には全く関係のない話ですが、金栗四三さんが尽力して開催した箱根駅伝、その第一回の優勝校である東京高等師範学校の後身校である筑波大学が今大会への出場を決めました。

関東学連選抜で何名か筑波大学の選手が走っていたことは記憶にありますが、チームとして出場するのは26年ぶりだそうで、いだてんのドラマが放送されている時に出場を決めるのはなんだかドラマチックです。

9月には金栗四三の出身地である熊本で合宿をしていたそうで、金栗さんの後輩たちにとっては何がなんでも決めよう! と気合が入っていたことと思います。そして見事に出場を決めたのがまたすごいです。

まとめ

いだてんが最終章に入って、これまでの伏線がだんだん回収されていっています。ここからは登場人物と一緒に東京オリンピックに向けて進んでいく感じでしょうか。

次回のサブタイトルは『おれについてこい!』。1965年に公開された日本映画です。東洋の魔女と呼ばれた日本女子バレーチームのお話です。「おれ」と言ってるのは監督のことでしょうか。監督役はどうするんですかね。