西郷どん第7話「背中の母」家族のために夢を諦めても笑顔で

2020年2月9日

好きなように生きなさい

とどでございます。

今回は西郷さんにとって、とても辛い回でした。

おじいちゃんが亡くなって、お母さんの体調が悪いと思ったらお父さんまで……。

西郷家を蝕んだ病の名は労咳(ろうがい)。明治に入ってからは結核と呼ばれた病気です。

当時は治療法も確立されていませんから、栄養をつけて頑張るくらいしかできない恐ろしい病気でした。

直虎さんもこれを患っていましたね。

前回のあらすじ

御前相撲で島津斉彬(なりあきら)に勝利してしまい、投獄された西郷さん。実は琉球で捕らえた謎の男の素性を調べる密命を受け、牢屋に入ったのでした。

謎の男の名はジョン万次郎。西郷さんが彼を匿ったことでジョン万次郎は心を開き、自分が日本人で、アメリカにいたことを打ち明けました。

海外の事情に理解のある斉彬は、ジョン万次郎から海外の知識を伝達してもらい、日本が江戸時代の意識のままでいては危ないことを悟ります。

一方、西郷さんにはなんと縁談の話が。それを聞いた幼馴染である岩山糸は、西郷さんに想いを打ち明けつつも、西郷さんの邪魔をしないよう、岩山家が決めた相手に嫁いでいきました。

おじいちゃんの心残り

以前から体を悪くしていたおじいちゃんの龍右衛門。

龍右衛門は労咳(ろうがい)によって亡くなってしまいました。

そのおじいちゃんが心残りにしていたのが、西郷さんの結婚。当時で24と言えば、遅い方なのでしょうか。

西郷さんは前回のお話で出てきた縁談を断っていたようですが、「あちらは御前相撲で吉之助を気に入っていたからまだいける!!」と父・吉兵衛が再度縁談をまとめにいきました。

そこからはあっという間に結婚まで進むことに。もともと相手の親が気に入ってくれていたから話も早かったのでしょうね。

本人の気持ちが全然考慮されないあたりは江戸の価値観が見えます。

西郷さんの奥さんである須賀役は橋本愛さん。あまちゃんに出てました。来年の大河への出演も決まってるので連続出演です。すごい。

初めて喋ったのが「いただきます」

「全然喋らない」「笑わないな」と言われつつも、ささやかな披露宴に参加する須賀さん。

郷中の仲間が徳利を向けると、「いただきます」と杯を乾かしました。お酒が大好きな薩摩人々にとっては、あのように一緒に飲めるのはとても良いことだったようです。

うまく笑えないながらも、須賀さんはみんなに気に入られたようでした。

隣で気まずそうに笑ってる西郷さんもまたどうしていいか分からなかったでしょうね。あの感じ、わかります。

宴もたけなわ、といったところで、大久保正助(のちの利通)が「みんな、うちであれやろうぜ!」とみんなを外へ連れ出しました。この気遣い、子供の頃だったら意味分からなかったなぁ。

二階の西郷さんの部屋に布団を引いて、「うまく笑えなくてごめんなさい」と謝る須賀。いやもう初めて会う人の家に行って結婚までしちゃうんですから、笑えってのが無理です。

西郷さんの母、満佐さんも自分の死期を悟ってか、西郷家のことを任せられるように色々と教えたくて焦っていましたし、みんなが不器用ながら進んでいく感じでした。

斉彬の一手

来たる外国からの脅威に備えるため、幕府内での発言力を高めようと、篤姫を養子縁組して将軍家に嫁がせようとします。

……と、メタ的には知っていても、篤姫本人にとっては不安でしょうがないでしょうね。

斉彬は、篤姫の勝負運の強さを見込んで、激動の時代でも運を引き寄せられるようにと江戸に送り込もうとします。

運の良さって大事ですよね。自分で「私は運がいい」と思っているだけで、幸運やチャンスに巡り会うことが多くなりますし。

確定的な口調でこんなこと言ってるのは、リチャード・ワイズマンが行った実験があるため。彼が行ったのは、運が良いと思っている人のグループと運が悪いと思っている人のグループに分けて、新聞に掲載された写真の枚数を数えてもらう実験でした。

参加者には事前に知らされていませんでしたが、実は新聞には「この文章を見たと実験の監督に言ったら100ポンドあげるよ」という文章が隠されていたのです。100ポンドと言えば15000円くらい。これはラッキーです。

実験終了後、文章に気づいた人の割合をグループ別に見ると、運がいいと思っている人のグループの方が100ポンドをゲットして帰った割合が多かったそうです。

運がいいと思っていると、余裕が生まれてチャンスを見つけやすくなるみたいです。

この実験結果が載っている彼の著書『運のいい人の法則』は2011年出版なので、斉彬様はこの実験結果を知る由もないのですが、運の良さが大切だという先見の明があったようです。さすが斉彬様。

日本一の嫁を自慢して何が悪かか!

話は西郷家に戻って、須賀が家に馴染めるかどうか心配する吉兵衛は、満佐との馴れ初めを語ります。

満佐さんも、今回の須賀のように、最初から結婚相手に恋愛感情を持っていたわけじゃなかったようです。

でもお互いに好きになる努力をして、いつの間にか最高のパートナーになっていた、なんて吉兵衛は惚気ました。

ばあちゃんは「子供達の前でなに惚気てんだい」と茶化しますが、「日本一の嫁を自慢して何が悪かか!」と豪快に笑う吉兵衛。

満佐の体調が思わしくないことを知っているから、どうしても満佐がもう長くないと感じてしまっていたのかも。

そして次の日、「お父さんが起きてこない」と言われて様子を見に行けば、なんと吉兵衛が安らかに息を引き取っていました。

……。

…………。

吉兵衛ええええええええええええ!?

見ていた時は「えっ? そっち!?」と呆気にとられてしまいました。何の心の準備もなかったから呆然とするしかなかったな……。

満佐が結核になっていたから、そりゃ吉兵衛にも移ってる可能説がありますよね……。作中では語られていませんでしたが、一家の大黒柱だからと、病を隠していたのかも。

最期に桜島が見れてよかった

吉兵衛逝去の後、満佐の体調も日に日に悪くなってしまいます。

そんな折、郷中の仲間が斉彬の参勤(江戸行き)について行くことが決まりました。でも彼らには、郷中のリーダーで御前相撲にも優勝した西郷さんが選ばれなかったことが不思議だった様子。

西郷さん、父・吉兵衛から満佐さんが結核を患っていることを聞いていたため、参勤への同伴の応募はせず、自分の夢を諦めて看病することを選んだのでした。

病床でそれを聞いた満佐さんの優しい笑みが良かったです。夢を諦めてまで看病してくれていることに喜びつつ、でも子供の夢を諦めさせてしまったことを申し訳なく思う親心が混ざったような表情でした。

満佐さんは西郷さんに「桜島が見える場所に連れて行って」とお願い。西郷さんは満佐さんを背負って桜島のビューポイントまで連れて行きました。ここって1話で西郷少年が斉彬様と会った場所辺りでしょうか。

「吉之助さぁの好きなように生きやんせ」と背中を押すのがまたグッときます。というか桜島映ってからずっとダバダバ泣いてたんですけどね。7話で泣かせにくるとか西郷どん攻めてるわ。

満佐さんは「最期に桜島が見れて良かった」と安らかに息を引き取りました。薩摩の人々の心にはいつも桜島があるのですね。

まとめ

前回のテーマが恋愛的なLOVEなら、今回は家族愛的なLOVEでした。まさにアガペー。

西郷さんが、斉彬と一緒に江戸に行く夢を諦めてまで満佐さんの側にいるのは彼の優しさが表れていてとても良かったです。

西郷さんにとっては家族を失ってしまう辛い年でした。