いだてんって大河というより朝ドラとか日9とかそんな感じのドラマよね。

2020年2月15日

いだてん始まったよ

年が変わって新しい大河ドラマのいだてんが始まりました。

西郷どんでは江戸から明治まで、いだてんは明治から昭和までのお話っぽいのでなんだか地続きのような感じがします。

西郷どんで「武士はもう過去の産物、新しい時代で生きられない者はここで消えよう」なんつってた通り、武士なんて全然出てきませんでした。その代わり、軍隊的なトレーニングを積んでいる人々が出てきました。時代の移り変わりを感じます。

今回の大河ドラマの主人公は金栗四三(かなくり しそう : 濁点はついたりつかなかったり)。日本でのマラソンの父です。通常の大河と比較すると最近の人物なので、正直呼び捨てで呼ぶのはためらいが……。

1話では主人公の出番はほどんどなく、彼を取り巻く舞台の説明や支援者である嘉納治五郎にスポットライトが当たっていました。

嘉納治五郎役として役所広司さんが出演。彼が出ていると主人公のような気がしちゃいます。彼の応援しているランナーが足袋を履いているし、なんだか陸王を思い出しちゃうんですよね。陸王で敵対するシューズメーカーの部長役を演じていたピエール瀧さんは、今度は金栗四三と一緒になってマラソン足袋を開発する役で出演するそうです。シュール。

いだてんの時代

明治から昭和までのお話が語られます。

今回は明治44年の羽田運動場におけるオリンピック予選会までがメイン。マラソン大会に参加した金栗四三が足袋を履いて走り、当時の世界記録を27分縮める大快走を見せたところまでにスポットが当てられました。

主人公の幼少期から入るのではなく、エピソードごとに語っていくのも現代的な群像劇のようで面白いです。

主人公は金栗四三ですが、語り部となる古今亭志ん生にもスポットがあたり、明治⇔昭和を行き来して描かれています。「あれ? 今どの時代?」と迷ったら古今亭志ん生を見れば良さそう。

古今亭志ん生は寄席でお客さんと話すかのように、視聴者側にも語りかけてきます。おおメタいメタい。

韋駄天ってなんぞ?

ところでタイトルの「いだてん」って何? という方のためにゲーマー的な補足説明。

韋駄天(いだてん)とは仏教の神様で、足の速い神様として有名です。ブッダが涅槃に入った(亡くなった)時、鬼に歯が盗まれたようですが、それを猛ダッシュで追いかけて取り返したのがこの韋駄天だそうです。

このエピソードから転じて、足の速い人のことを韋駄天と例えるようになったみたい。

また、あちこち走り回って食べ物を集め、仏教の修行を行う人に差し入れを行っていたことから、食べ物を用意してくれた人に対して言う「ご馳走さま」の語源になったとかなんとか(チコちゃん情報)

ここからがゲーマー的な補足ですが、韋駄天は仏教における四天王の部下にあたります。四天王は仏法とか仏教徒を守ってくれる神様で、東西南北の各方向を守っています。

東の持国天(ジコクテン)、西の広目天(コウモクテン)、南の増長天(ゾウチョウテン)、北の多聞天(タモンテン、または毘沙門天: ビシャモンテン)がいて、韋駄天はこのうち増長天の部下なんです。

各四天王につき8柱の部下がいて、韋駄天は計32柱の神様の中で首席の神様です。なので結構位が高いんです。

仏教の神様はインド神話やヒンドゥー教の神様が輸入されていることが多く、この韋駄天もそのうちの一柱。

韋駄天はヒンドゥー教といえばこの方! でおなじみのシヴァ神の子供です。シヴァ神はヒンドゥー教三大神の一柱で、破壊と創造の神様。破壊と入っている通り、めちゃくちゃ戦闘能力が高いんです。その息子だけあって、韋駄天も上位の神様として仏教に習合されたようです。

韋駄天はヒンドゥー教では「スカンダ」「クマーラ」「カルティケーヤ」など、たくさんの名前を持っています。メガテニスト的にはカルティケーヤさんに大変お世話になりました。複数回攻撃、ラスタキャンディなどがとても素敵です。メガテンに出てくるときに「スカンダ」の名前じゃないのは、似た名前のスクンダという魔法があるからでしょうかね。

韋駄天と呼ばれる元になったのは上記の名前のうち「スカンダ」。漢字で塞建陀天と転写され、省略されて建駄天に、中国方面に文書を持ってくるときにコピペミスして違駄天になった挙句、道教に出てくる韋将軍の韋が当てられて韋駄天になったそうな。

マニアックな感じで補足説明したけど、足の速い人を韋駄天と呼んでいたことだけ知ってればOKです。

金栗四三といえばあのエピソード

なんだけど、まんまドラマのネタバレになるからやっぱ書けないや。

ストックホルムオリンピックで起きたあの出来事が後に最高に粋なエピソードに繋がるところまでぜひドラマで見たいです(ネタバレ)

こんなんスウェーデン好きになっちゃうよ。

嘉納治五郎は柔道の創始者

嘉納治五郎は日本で新しい競技……というか武道を作っちゃったすごい人です。

柔術自体は戦いのすべとして元々あったようですが、それを一つの武道としてまとめ上げたのがこの嘉納治五郎です。

主人公を導いていく立場にあることを考えると、西郷どんでの斉彬様のポジションでしょうかね。この人を主人公にしてもドラマ作れそう。

柔道をやっている方や、筑波大学出身の方にとってはヒーロー的存在かもしれません。

ゴイステの峯田和伸氏出てるのね

GOING STEADY……というか今は銀杏BOYZのボーカル峯田さん、ボウズになって大河に出てました。嘉納治五郎をフランス大使館に運び、マラソンの予選にも「田せ早」のゼッケンで参加していたあの車夫さんでした。

髪の毛もっさりの姿しかイメージになかったから、ボウズにびっくり。最初見たときは「あれ? なんか見たことあるな……」ぐらいでしたが、そうか、峯田さんだったか。登場人物の名前にあったからまさかと思ったら、結構長いこと映ってましたね。

ひよっこでも出てたんでしたっけ? NHKの中にファンがいるのは間違いないわこれ。

あ、クドカンの映画『アイデン&ティティ』にも峯田さん出てましたね。そういう繋がりもあるか。

まとめ

主人公の金栗四三が明治の生まれとはいえ、昭和まで生きていた人の話なのでかなり最近の話のように感じる大河ドラマです。

西郷どんから地続きの明治からスタート、ということで去年の大河を見ていた人にとってはとっつきやすいかも。

視聴者が慣れ親しんだ明治から入りつつ、1964年の東京オリンピックまで話が進み、気づけば現実世界でもあとちょっとで2020年の東京オリンピックじゃん! みたいな構図、ベタだけど結構好き。めっちゃ気持ちが盛り上がりそうですね。