麒麟がくる第二十九回感想「摂津晴門の計略」幕府内部がドロドロしていて恐っ!
とどでございます。
二条城といえば家康のイメージがありましたが、築城したのは信長だったんですね。「二ヶ月で作れ!」という無茶な納期にもかかわらず摂津はそれを成し遂げました。裏でやっていることはアウトな人ですが、仕事自体はきっちりとやり遂げているあたりが食えない人という印象を与えます。
鶴太郎さんの悪役ムーブが光りますね。ぱっと見て悪役だと分かるのはすごいです。
無事に二条城も完成して将軍のいる場所も十全……かと思いきや、帝の屋敷はボロボロでした。武士の方が力を持っていることの現れでしょうか。
将軍に就任して全部解決! というわけではなく、幕府の内部のドロドロを楽しむ回になりました。
近隣から材料を集める
二条城って休日のお昼に食べるチャーハンのようなお城だったんですね(語弊)
流石に二ヶ月で城を作るのは大変だったため、近隣のお寺などから集めた屏風などを使ってお城に使うようです。二条城のために新しく何かを作るというよりは、ありものを使って二条城を作るようでした。
二条城といえば鶯張りの廊下が有名ですが、この二ヶ月の突貫工事で鶯張りの廊下まで作っていたとしたら驚きです。また、二条城は日本で初めて石垣を積んだ城としても有名で、時間がない割にめっちゃいい感じに仕上がっているのが特徴です。
信長が指示を出したからか、それとも摂津がうまいこと融通したのか、結果として見事な城になっているのはすごいですね。二ヶ月ですよ、二ヶ月。
材料をたくさん集められる、作業をする人をたくさん集められる、という信長の力を感じる部分ですね。
無茶な納期には愚痴がつきもの
とはいえこうした無茶振りに対しては幕府の人々もちょっと不満げ。細川は光秀に「愚痴をいってるやつもいるぜ(意訳)」と伝えます。
光秀からしたら、将軍を守る場所を作ろうとしなかった人が何を文句いっとるか、という感じでしたが、幕府の中にいる細川藤孝からしたらちょっと耳の痛い話ですね。
幕府の内部では摂津をはじめとして、まぁやりたい放題な部分もあったので、そこを正そうとする光秀にとっては障害もたくさんあるみたい。後半になって分かりますが、光秀もはめられた部分がありましたからね。
近衛様との邂逅
伊呂波大夫の取り計らいもあり、光秀は近衛前久と会うことになりました。近衛前久は前将軍の足利義栄を推挙したことで朝廷内の立場が悪くなってしまった人です。
その背景には伊呂波大夫の「誰が将軍になったって一緒でしょ? なんなら武士同士が争って消えてしまえば戦はなくなる」なんてラスボスみたいなセリフがあったのですが、その言葉通りに行動したら義栄が早逝してしまってピンチになりました。
光秀を呼んだのは、やりたい放題の幕府を見かねて、将軍への覚えもめでたく、かつ信長にも平気でものを言えるから。相手の立場を気にして言いたいこともいえないこんな世の中なので、そこを押し通せる光秀に白羽の矢が立ったみたい。
彼らにとって本来守べき帝から土地を奪い取るなどしている点も看過できないんですよね。
幕府に染まっていない信長や光秀が組織を変えるための鍵だと感じてのことでした。そこでも伊呂波大夫のアドバイスがあったみたいですが、近衛様を動かしているのは伊呂波大夫といってもいいくらいの動きです。
それにしても、関白と兄弟同然で、帝とも直接あったことがある伊呂波大夫すごい人ですね。
藤吉郎怖すぎィ!
近衛前久と会った光秀は信長の元を訪ねます。この時藤吉郎(秀吉)が颯爽とやってきましたが、なんともう近衛前久と会っていたことを掴んでいました。公家周りのことを徹底的に調べているようで、将軍の側にいる光秀もその対象のようでした。
義昭を上洛させる時にも先に京に入って諜報活動をしていました。元農民というのが嘘のように見事なスパイです。今のように通信手段が発達していない当時にほぼタイムラグのない情報を掴んでいるなんてヤバすぎ。
光秀に「公家の動きに注意せよ。油断すると足元をすくわれる」なんて言っていましたが、藤吉郎にも注意しないといけませんね。
優先順位が変わっている
幕府は将軍を担いでいますが、帝を蔑ろにしているフシがあります。今回のポイントは信長が帝の存在をちゃんと認識している点で、それが光秀にも伝わっていました。
信長の父・信勝は帝の御所の塀を修繕するために四千貫も献上しました。これは帝が蔑ろにされてしまっているのであれば自分がお守りせねば! というガッツある対応でした。大河で亡くなった人のかっこいいエピソードが後から語られるとぐっと来ますね。
この当時の信長は帝の存在をよく分かっていなかったようでしたが、京に入って「将軍こそ最高!」みたいなノリを目の当たりにして思うところがあったようです。
これもあってか、光秀は御所の様子を見に行きましたが……シーンの雰囲気もあってか荒廃した様子が伝わってきました。天然のハロウィンかな?
信長の父が四千貫送って塀を直したけれども、また壊されたようです。伊呂波大夫は残念そうに教えてくれました。完成した二条城の塀と比べている光秀の表情は、帝と将軍との扱いの差に心を痛めているような感じでした。
光秀がもらった土地は……
将軍から「家族を呼んできなよ」ともらった土地は政所が不正に手に入れた土地だったようで……なんと光秀が「土地を返せ」と訴えられてしまいました。
政所に乗り込んで摂津を問い正そうとしますが、摂津はのらりくらりとかわします。帝の土地を奪い取った疑惑についても「さてなんのことやら」といったような風であまり響いていませんね。
出過ぎた真似をするなら叩き潰しちゃうよ? という策略だったようですが、光秀は断固として戦うようです。この辺りは組織に染まっていないからそこできることでしょうかね。
帝すら幕府の食い物にされている現状は、到底麒麟がくる国にはならなそうですから、摂津ともいずれ戦う時がきそうです。武士としての戦というよりは、幕府内の政争で戦う感じでしょうかね。
二条城完成! と共に
二条城は今回の話の中で完成しました。二ヶ月で城を作っちゃうとか、当時の作業員はどれだけ優れていたことか。信長という恐怖の存在があったからかもしれませんが、それでも二ヶ月は驚異的。
将軍は笑顔で完成をお祝いしてくれましたが、摂津は形式的なお祝いでした。将軍に「感謝しろよ」と言われたから渋々、という感じでしょうか。
それはそれとして信長は光秀に「ちょっと美濃に来てよ。朝倉のことで話があるから」と告げました。ついに朝倉と戦う感じでしょうか。予告を見るに光秀も信長のもとで戦いに参加するようだったので、利用されていた面が大きいとはいえお世話になった人を討ち取りにいくのはちょっと気まずいですね。
まとめ
今回は幕府内部のゴタゴタ感が感じられた回でした。後から入った光秀は組織の力学と戦うことになりますが、信長のサポートとして朝倉と戦う方が先になりそうですね。
次回は久々に帰蝶さまと対面するようで楽しみです。
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