西郷どん第16話「斉彬の遺言」だけど井伊様の名言「恐れ入り奉ります」がツボ

2020年2月10日

蟄居なう

とどでございます。

斉彬様の訃報を受けた西郷さんは、殿の遺志を継いで挙兵を進めることに。

泣かずに次の手を考えるあたり、殿から学んだ事を活かしています。

それでも井伊直弼の方が先手を打っており、一橋派の陣営はピンチに追い込まれることになりました。

井伊直弼、強すぎィ!

橋本左内も捕まっちゃうし、月照と西郷さんも追われる身になるしで、大ピンチ続きです。

物語的には逃亡劇はハラハラしていいんだけれど、この辺りはポジティブなイベントが中々ないのでブルーな気分になります。

前回のあらすじ

徳川家将軍である徳川家定が病に倒れました。

御台所である篤姫の説得で、次の将軍には一橋慶喜を指名するつもりでいた家定でしたが、井伊直弼の策略により、「頼む」という言葉をうまく使われ、権力を握られてしまいました。

その家定も身罷られ、次期将軍には慶福が指名されてしまったため、島津斉彬の陣営は将軍継嗣問題で破れることとなりました。

失意のどん底にいた斉彬様でしたが、西郷さんが「京にて挙兵し、朝廷の意向を無視できないようにする。それによって国のあり方を変える」と進言し、再び斉彬様は立ち上がることに。

京で再会する事を誓う二人でしたが、斉彬様が病に倒れてこの世を去り、残念ながら約束は果たされませんでした。

今回はこんな話

今回のハイライトはこちら。

  • 西郷さん、斉彬様を失うも涙をこらえて水戸に挙兵要請
  • 水戸の隠居様は、勅(みことのり)を無視した井伊直弼を諌めるために登城
  • しかし井伊の怒りを買って蟄居処分に
  • 実はヒー様も登城したけど、同じく蟄居処分に
  • 幕府、というか井伊に逆らった人たちを弾圧する安政の大獄が開始
  • 月照と西郷さんがお尋ね者に
  • 二人を逃した橋本左内、捕まる
  • 薩摩への逃亡中、殿の幻を見て殿の死を受け入れる

今回も気になる所を中心に。

斉彬様になろうとした

月照から斉彬様の訃報を知らされ、それを受け入れられないでいた西郷さん。

現実から目を背けるかのように、「お前はわしになれ」という言葉を胸に奔走しました。

京での挙兵ができないなら、天子様に再度勅(みことのり)を出してもらって水戸の力を借りるなど、結構アクティブに動いていました。

京から江戸に行くのは中々しんどいはず。

キョリ測を使って京都駅から東京駅までの直線距離を出してみたら、372km。時速5kmで75時間くらいでしょうか。

動けるのは日の出ている時間と考えると、1日10時間くらいぶっ通しで歩くとして約8日。

山とか関係なしに最短距離で8日だと、倍ぐらいはかかったんじゃないかな。

16日の間歩き通しで江戸に向かうとか、何かの修行レベル。

斉彬様の死に目を向けないように必死に前を向いていたのでしょう。

殿の遺言を守って、「斉彬様ならこうするはず」とそれだけを考えていたのかな。

ヒー様と壊れたレコーダー

ヒー様、江戸城に乗り込んで直談判するとかガッツがありますね。

それに対して壊れたレコーダーのように「恐れ入り奉ります」と繰り返す井伊直弼。

申し訳ございませんのゴリ押しでクレーマーを撃退する感じでしょうか。余計なこと言って言質取られないようにしているあたりが強い。相手が怒って帰れば勝ち、みたいな。

政次の教えが生きているんでしょうかね。

ヒー様の父親である徳川斉昭が乗り込んできた時には、朝から夕方まで待たせるというスペシャルコースでした。

人の煽り方を極めてる井伊様。

「恐れ入り奉ります」は新しい煽り言葉として使えそうですね。明日から、上司に理不尽に怒られたら「恐れ入り奉ります」を繰り返そう!

……。

……やったら御役御免になるわ。

蟄居になりました

井伊直弼に直談判しちゃったことがアダとなり、徳川斉昭は蟄居(ちっきょ)処分になってしまいました。

同じく直談判しに言ったヒー様も、処分が下るのは時間の問題に。

品川宿で最後の癒され空間を楽しんでいたら、西郷さんがやってきました。

西郷さんは、水戸藩邸に行ったものの、門前払いを食らった様子。

西郷さんとしては納得いかない感じですが、ヒー様から徳川斉昭が蟄居になった事を聞かされて合点がいったようです。

蟄居とは刑罰のひとつで、「お前んち、門を閉めて外に出てくんなよ。いいって言うまで引きこもってろ」という罰則。真田丸の時には昌幸と信繁が九度山に蟄居となっていました。

家から出れないんだから、挙兵なんて無理。

ヒー様に水戸の代表として立ち上がるようお願いしたものの、同じく蟄居になりそうなヒー様にも断られました。

そりゃそうか。

最後の頼みだったヒー様にも「もう二度と会うことはないだろう」と言われてしまい、咽び泣く西郷さんでした。

殿だったらどうするか考えて行動したものの、井伊直弼に先手を打たれていて、どうすることもできない状態になってしまいました。

安政の大獄

日本史の分野ではほぼ確実にテストに出てくる安政の大獄。

井伊直弼に敵対する勢力の粛清を行った恐怖の出来事です。

国際的な条約に勝手にサインしちゃった井伊直弼でしたが、それに反発した人たちをどんどん弾圧していきました。

日米修好通商条約に天子様の許し無しでサインしちゃうわ、天子様の勅をガン無視(というか偽造)して慶福を将軍にしちゃうわで、独断専行があったために周りも反発。

井伊直弼としては、家定が亡くなって混乱している幕府を落ち着けるために反乱分子を無くしたい考えだったんでしょうかね。

このように「独断専行」のイメージが強い井伊直弼ですが、Wikipediaの日米修好通商条約の項目を見ると、彼に関して興味深い記述がありました。

井伊直弼は、日米修好通商条約は朝廷の許可が必要だと主張していたようです。しかし、老中である松平忠固は「いや、だらだらしてたらイギリスが攻めてくるかもしれないじゃん? チャンスを逃すかもしれないし、比較的穏健なアメリカと早めに調印しちゃった方がよくない?」と主張。他の老中たちも「そうだそうだ!」と乗っかって、井伊直弼だけ孤立したそうな。

「いやいや、朝廷の許可を待てって」と主張する井伊直弼でしたが、「やむを得ない状況になったらサインしてもいいよね?」と交渉担当の井上清直がゴリ押し。

「本当にどうしようもなくなったらしょうがないけど、なるべくそうならないようにしてね。朝廷の許可もらうのはマジで大事だからね!」と主張するも、アメリカの船に出向いた交渉担当はあっさりサインをしちゃったみたい。

結果として、幕府側で本件の責任者だった井伊直弼が勝手にサインした形になり、外部から責められる要因に。

あれ? 直弼悪いことしてなくない?

部下(といっても地位の高い老中だけど)の暴走の責任を取らされ、やれ「独断専行」だのと言われれば、ムッとしても不思議ではありません。

ちなみに松平忠固は調印の4日後に老中クビの上蟄居処分となり、ここから安政の大獄が始まりました。

斉彬様の幻影

追われる身となった月照と西郷さんは、薩摩に向かうことに。

途中、諦めて殿の元に向かおうと短刀を手にする西郷さんでしたが、それを止めるかのように斉彬様の幻が現れました。

マントを羽織っている姿はなんだか吸血鬼みたい。ちょんまげ吸血鬼。

「お前は一体何を学んだ」と問いかける姿はやっぱり斉彬様です。

西郷さんを止めにくるあたりが素敵。心の支えを失ってしまった西郷さんはすぐにあとを追っちゃいそうでしたもんね。

幻とはいえ斉彬様と会えた西郷さんは、殿の死を受け入れて前を向くことができたようです。

まとめ

斉彬様がいなくなってしまった影響は大きく、一橋派の有力者たちをまとめる力が失われてしまいました。

西郷さんも斉彬様の遺志を継いで行動したものの、井伊直弼に先手を打たれて八方塞がり。

最初の頃のハードモード感を思い出します。