直虎38話「井伊を共に去りぬ」さよなら龍雲丸。根に持つ虎松の帰還

2020年2月7日

また会う日まで

とどでございます。

今回のサブタイトルの元ネタは「風と共に去りぬ」。

アメリカの小説です。

原作を読んだことはなくとも、タイトルだけは聞いたことがある、という人も多いかも。今回は武田方面が急展開。

まさかの死神がお迎えにきて、信玄は召されてしまいました。いやぁ寿桂尼様は恐ろしいですね。

和尚様と信玄公

今回の事の次第を説明しに行った和尚様。

ちゃんと話すためのパイプがあるのがすごいですね。

近藤が徹底抗戦の構えをしたから、帰順するように交渉したけど、結局城を焼かれました、なんて説明をするのは胃が痛そう。

信玄はこの時点で、高瀬が暗殺失敗したのを察知していた感じでしたね。和尚様のおかげで、次郎宛に信玄からの手紙が。

徳川家康や武田信玄から手紙をもらうなんて、直虎すごいな。還俗したとは言え、殿は殿でした。

近藤の首をよこせ

信玄からの手紙には、「近藤の首をくれたら、井伊家に井伊谷の土地を安堵するよ(意訳)」と書かれていました。

普通に手紙を見せれば近藤だってキレますよね。「意趣返しか!!」と叫びますが、直虎はそんなつもりはありません。

そんなつもりがあれば手当のふりして息の根を止めていますもの。直虎が提案したのは、井伊と小野のような関係を築く事。

すなわち、対外的には井伊と近藤が反目しているように見せかけて、その実、武田と徳川、優勢な方に付きやすいようにする、というもの。

直虎の案を聞いた近藤は、「疑り深くなってのぅ……」と席を立ちました。一旦持ち帰って考える時間も必要だ、と直虎も織り込み済みの様子でしたね。

昔より余裕が出てきた気がします。

高瀬の再チャレンジ

もはや近藤康用も、ヘイトを集めすぎて哀れになってきました。

政次を陥れた時に比べたら、「高瀬そのままやっちまえ!」という視聴者も少なくなってきたかも。

え? そんな事ないって?

うむす。それはそうとて、高瀬の様子がおかしいことを龍雲丸から聞いていた直虎。高瀬が近藤に薬を出そうとしたところをカットインです。

直虎は薬を飲もうとしますが、高瀬が素早く払いのけます。今までのおっとりした動きからは想像できないような素早さでしたね。直虎はこれで感づきました。

政次が「武田の間者かもしれませんぞ」と言っていたのは本当でした。

さすが政次。

お金に困っていた高瀬

話を聞いてみれば、直親の子供であることは本当のようですが、武田の間者であることも本当のようでした。

母親が亡くなり、残された莫大な借金を目の当たりにして途方にくれていたら、武田が甘い言葉で唆したのでした。

今は井伊谷の実権を握っていたのが近藤康用だったから多少目を瞑れるけど、高瀬が受けていたミッションは「井伊の殿様を亡き者にせよ」というもの。

武田が攻めてくるタイミングによっては、直虎が狙われていたかもしれないんですよね。危なかったぜ……。

高瀬は追い詰められていたからか、「近藤が亡き者になれば、母上は井伊の殿として返り咲ける!」という思いもあった様子。

直虎はもはやそんなことを望んでいませんから、高瀬をひっぱたいて目を覚まさせることに。娘に手を汚させてまで殿になりたくなんてないですからね。

高瀬を正式に井伊の庇護下に置けば、間者としての役割もしないで済むことでしょう。

井伊の村の復興

家は燃やされちまったけど、灰になったから畑の肥やしになったな!

なんて、とてもポジティブな村人たちでした。こんなアグレッシブな焼畑農業もそうそうないですね。直虎は、家が焼かれてしまったことを詫び、復興を指揮することに。

この混乱では、誰も犠牲になることなく生き延びることができたので、村人たちも明るく手伝うことができました。

集会場の建築、安価な薬の無料提供など、福利厚生面が充実していますね。瀬戸方久的には「手厚くしすぎじゃない?」なんて考えでしたが、直虎はその評判が広まれば人が集まるから元が取れる、という考え。

最強のマーケティングツール・口コミを使って井伊を復興させようとしていました。

……ところで直虎さん、何か忘れていませんか?

生まれ変わったら太陽になりたい

武田信玄と一緒にお酒を飲む和尚様。和尚様、すごい人ですね、ほんと。

和尚様は、武田信玄の人となりを知ろうとしているようでした。

「戦に飽きたり、疲れたりはしないか」と問えば、「甲斐は山奥だから、切り開かねば道はない。民が生きるためには、他から土地を奪わなければならない。戦うのが当たり前だから、飽きたりも疲れたりもしない」と答える信玄。

「生まれ変わったら何になりたいか」と聞けば、「太陽になりたい。そして大地に恵みを与える存在になりたい」と答えます。甲斐に肥沃な土壌があれば、きっと奪う必要もなかったのかもしれませんね。

民を思う気持ちは、武田信玄も井伊直虎も共通しています。また、土壌についての話を武田信玄、井伊の民、それぞれが話していた構図も面白いです。

武田信玄は、自分が土壌に恵みをもたらしたい、井伊の民は、家が焼かれてもそれが栄養になった、という対比が彼らの立場を表していました。

悪魔召喚→寿桂尼

武田にどんどん城を取られている家康。

家臣たちも相当気が立っています。

そんな状況の中、悪魔召喚の儀式命日の鎮魂を行なっていた今川氏真に一同脱力。せめて今日だけは、お婆さまのために演奏をしたいのだ、と楽器を吹き続けます。

今も今川のことを見守ってくれていることでしょう、とのんきにしている氏真。「今川も潰れる訳だ」と納得する家臣たちでしたが、家康は何かを感じ取った様子。

迎えにきたよ

武田軍の快進撃に気を良くしている信玄。「女の子は呼んである?」と欲望に忠実です。寝所に行ってみれば、女の子が待っていました。

画面が暗かったので、後ろ姿だけ見て高瀬と勘違いしたのは内緒です。さて、その女の子に近づけば、明かりが消えてしまいました。

「今か今かと、(あの世に来るのを)待ち望んでいましたよ」

顔をあげれば、なんとそこにいたのは寿桂尼様。これには信玄も苦笑い。

そのまま血を吐いて、一緒に連れて行かれてしまいました。氏真の悪魔召喚が成功していたようですね。マハムドオン。

井伊に残れ!

忙しさもあって、堺行きを忘れていた直虎。

和尚様の後押しもあり、堺に行くことを決めました。

中村屋もお迎えに来てくれました。こっちのお迎えは現世から現世なので安心ですね。そんな折、武田信玄急逝の知らせが届いたようです。

直虎の耳に直接入ったわけではないですが、なんとなく自体が急変したのを感じ取った様子でした。その様子を見逃す龍雲丸ではありません。

中村屋について行く途中、「すぐ戻って来るから」と、おとわを連れて引き返します。「うっとおしいんだよBBA! ついて来るんじゃねぇ!」と年を気にしているおとわに言葉のナイフが刺さります。

心残りがある状態で堺に連れて行っても、おとわは幸せにはならないし、おとわがいるからこそ井伊なんだ。そんな心配りから、暴言を吐いてでもおとわを井伊谷に留めようとしました。

「待っているから、心配事が片付いたら来い。10年でも20年でも待ってるから」という龍雲丸に対し、「待っていてくれるのは嬉しい。でもやっぱり龍雲丸は自由に生きるべきだ」と別れを切り出します。

「せめて、この約束だけは守ってくれ。私より先に死なないと」愛する者が自分より先に亡くなって行ってしまった直虎にとっては、そこだけは守って欲しかったんですね。

龍雲丸も「あんたもな」とお互い長生きできることを祈りました。悲しい別れというよりは、前向きな別れでした。

この場面はお互いを思い遣っている感じが出ていました。中村屋もそれを感じ取っていたらしく、男泣き。

いやぁ中村屋は癒しです。

井伊谷に戻る

龍雲丸は風と共に去って行きました。彼の旅立ちを象徴するように、空に龍の形の雲が出ていたのがいいですね。

第23回の最後、井伊の召し抱えを断る時も龍の形の雲が出ていました。武田信玄がいなくなったことを受け、どうするか作戦を練っている和尚様たちの元に直虎が帰って来ました。

やはりこうしているのが似合っているのかも。

根に持つ虎松

堺に行かなかった直虎が戻って来て、またしばらく時間が経ちました。茶色い猫だけでなく、白黒の猫がいました。美人さん。

にゃん渓和尚も、設定では13年以上、いやもっと生きていたことになるんですもんね。隠居して代替わりしたのかもしれません。

さてさてそんな折、虎松や六左衛門、しの、なつ、亥之助と、松下の家に行っていた人々が、直親の13回忌のために戻って来ることに。成長した虎松を寺で迎え入れる一向。

虎松は「松下の虎松にございます」と松下を強調しての挨拶でした。おもむろに直虎の方を見やれば、「お久しゅうございます、おとわ様」と、母でも、父でも、殿でもない呼び名で呼びました。

「井伊を復興しない」と告げた後、喧嘩別れした直虎と虎松。その虎松に対し、「あやつはもう殿じゃないから従わなくていい」と唆した奴がいましたね。そう、和尚様です。

虎松はその言葉に忠実に従い、早速ちくりと直虎に先制攻撃して来ました。いやぁ根に持っているなぁ。

井伊直政は、残っている資料だと、結構根に持つタイプだったらしく、そうしたエピソードがいくつか残っているようです。

例えば、まだ若い直政を抜擢した家康に対し、「殿の目は曇っておるのか」と言った人間がいたそうな。それから何年か後、直政が大活躍して家康の信頼を勝ち得たところ、上記の文句を言った人に対して直政本人が「目が曇っていたのはお主の方だったな」と言い放ったとか。

この場面は、そんな性格が現れたやり取りでしたね。

まとめ

武田信玄が急逝し、取り巻く環境が急変した井伊。直虎は一度は堺行きを決めたものの、井伊を気にして本心から乗り切れていませんでした。

話し合いの結果、龍雲丸と別れを告げ、井伊で暮らすことを決意します。そして時が過ぎ、成長した虎松が井伊にやって来ました。

おまけ

サブタイトルの元ネタ集作りました。