いだてん5話「雨ニモマケズ」は宮沢賢治の遺作である詩から

2020年2月15日

いざ、ストックホルム

とどでございもす。

今回のサブタイトルは皆さんご存知宮沢賢治の作品から。

「雨ニモマケズ 風ニモマケズ」で始まるこの詩は中学校の国語で触れた記憶があります。

サブタイトルとの関連でいえば、今回はオリンピック予選会で雨が降ってきたところと繋がってます。

フルマラソンを走ったことのある人がいない中、日差しがきつかったり雨が降ってきたりと、悪条件のレースとなりました。ばったばったと参加者が倒れていく中、当時の世界記録をぶっちぎる快走でレースを走破した金栗四三。

金栗四三がゴールした後に嘉納治五郎先生に抱きしめられたシーンは不覚にも泣きそうになりました。幼い頃の夢が叶うシーンはグッときます。

今回のサブタイトル

今回のサブタイトルである「雨ニモマケズ」は宮沢賢治の遺作から。書き出しが「雨ニモマケズ」だったことから、一般にこのタイトルの作品として認識されています。本人が生きていたらどんな作品名だったのでしょうか。

宮沢賢治は岩手県出身の詩人。注文の多い料理店が特に有名です。

https://www.shinchosha.co.jp/writer/2936/

新潮社によれば、生前に出版したのは詩集『春と修羅』と童話集『注文の多い料理店』の2つだけだったとか。没後に多くの作品が見つかり、どんどん出版されたみたい。

今回の『雨ニモマケズ』もそうですし、有名な『銀河鉄道の夜』も没後の作品だったようです。

『銀河鉄道の夜』といえば、ストックホルムオリンピックの予選会でマラソンを走っていた清さん(早せ田)役の峯田和伸さんが、GOING STEADYと銀杏BOYZで歌っていた同名の曲『銀河鉄道の夜』を思い出します。本人が出ているし、この意味も含めての宮沢賢治でサブタイトル……は考えすぎか。

もうちょい宮沢賢治

宮沢賢治といえば、文学系厨二病患者の心の拠り所。

彼が理想郷を表す意味で使っていた「イーハトーブ」なんて言葉がありますが、ちょいちょいいろんなところで出てきます。

Macを使っている人だと、Finderでフォントファイルを選択を選択した時に出てくるプレビュー画面に「あのイーハトーヴォのすきとおった風、……」と宮沢賢治の『ポラーノの広場』の一節が出てくるのを見たことがあるんじゃないかな。

あのイーハトーヴォのすきとおった風

このイーハトーブ、あるいはイーハトーヴォは、宮沢賢治の出身である岩手を外国語風に読んでみたものだとか。『ポラーノの広場』には他にもモリーオ市(盛岡)、センタード市(仙台)、トキーオ市(東京)といった地名が出てきます。

中学校の頃、学校周囲の地区の名前をこんな感じで読んで漫画のネタにしていた友達がいましたが、明治・大正の頃から同じようなことしてる人がいたのですね。

本編ではオリンピックの予選会

奇しくも2020東京オリンピックに向けた関門となる大会、大分別府毎日マラソンの開催日に放送することとなりました。

ドラマの中でも古地図を使ってコース説明をしたり、画面上にテロップを出したりと、メタ視点担当の志ん生(若)がナレーションを担当しているからかやりたい放題でしたね。

スタートとなった羽田運動場は今の羽田空港の位置。途中通っていた穴守稲荷神社がありましたが、今も穴守稲荷駅の近くにあります。

穴守稲荷神社の御祭神は豊受姫命(とようけひめのみこと)で、天照大神のご飯を用意してくれる女神様。伊勢神宮にお参りに行ったことのある人だったら、外宮に祀られているのをご存知かも。

穴守稲荷駅といえば、近くにJALシティホテルがあります。ANA森稲荷なのにJALシティとはこれいかに。

……うん、ごめん。

さて、本編では10里の距離を駆け抜けた選手たち。4里くらいなら走ったことがあっても、10里は未知の世界。どんどん脱落者が出てしまいます。

コースが京急電鉄の駅に近い場所を走っているのは、脱落者が出ても鉄道で輸送できるからでしょうか。六郷橋のあの感じ、通勤電車で通っていたのを思い出します(白目)

そんな中でもペースを守って走る金栗四三と東京師範の陸上部。野口くんもいい走りでついていきます。最終的におやつを食べてしまって失格になったものの、いいところまで走っていったのはすごい。

金栗四三は終始安定したペースで走っていたみたい。各地にいる天狗倶楽部の運営委員が応援してくれているのがまたいい感じ。農作業をしている人たちも一緒になって走っていましたね。農家は足腰強いですから。

穴守稲荷に戻ってきた金栗四三は、ライバルと睨み合いながらも無事1位でゴール。1話のあのシーンに戻ってきました。

嘉納治五郎先生の抱っこ

金栗四三少年が幼い頃に願った嘉納治五郎先生の抱っこ、やっと叶いました。

あの頃は窓の外から眺めるのが精一杯で、近づくことすら叶いませんでした。父親が家族のみんなをがっかりさせないためについた嘘が、金栗四三少年自身の努力によってやっと本当になったんです。

こういうのでいいんだよ、こういうので。

1話のダイジェストでこれをちょい出して、2話で子供のころの様子が描かれて、それを覚えているうちに伏線回収。時代を行き来して情報量が多いからこそ、覚えているうちにこれをやってくれて良かったです。

タイムへの物言い

タイムは2時間32分45秒。

「世界記録に比べて早すぎない?」

と冒険世界の記者からタイムへの物言いがつきました。

距離測定を行ったチームは「距離は何度も測ったので間違いありません!」と主張し、タイム計測を行った嘉納治五郎も「時計は正確だ」と主張。距離もタイムも合ってるみたいだけど、世界記録に比べて27分も早いとか控えめに言ってバケモノです。

こんな時はGoogle先生に10里って何キロメートル? と聞いてみるのが一番。

10里でググって出てきた距離は……39.2727キロメートル。42.195キロメートルより3キロ近く短くないですかねぇ……。

よくよく調べると、当時のマラソンの距離は40.225キロメートルだったみたいで、誤差は約1キロメートル。タイムにすると3分くらいでしょうか。

それでも十分早いか。金栗四三おそるべし。

余談ですが、今回の放送と同日に行われた大分別府毎日マラソンで日本人1位に輝いた二岡康平選手の完走タイムは2時間9分15秒。40km時点だと2時間2分27秒。

金栗四三が走っていた1911年から108年経った現代だと、さらに30分もタイムが縮まっていることに。金栗四三のマラソンに対する研究があって、現代の選手たちがここまでタイムを縮めたことを考えると胸が熱くなります。

先生、はっちゃけ過ぎです

可児くんは東京師範学校の寮でべろんべろんに酔っ払っちゃうし、嘉納治五郎先生は羽田運動場でお酒飲みつつ天狗倶楽部の面々とウェーイしちゃうしで、はっちゃけまくってました。

オリンピックの予選会がうまくいったし、世界記録は破るしで、それはそれは大きな喜びだったことでしょう。

新しいことだらけで上手くいくかどうか分からない状態だったんですから、これだけはしゃいでもいいよね。

美川くんがだんだんダメ学生に

夏目漱石の小説に傾倒し、学校の勉強にもあまり身が入っていない様子の美川くん。巨大なにゃんこを抱っこしながら登場です。同郷の金栗四三がマラソンで大きな結果を出したことに複雑な思いを持っているみたい。

本をたくさん読んでいるからか外の世界のことも知っているようで、東京師範学校の押し付け的な教育を疑問視しちゃった様子。

学校的には落ちぶれてる組なんだけど、師範学校を卒業して教職に就いた人の中にはお堅い、融通の利かない人がいたらしく、「師範タイプ」なんて言われていたとかなんとか。

今の感覚からすると、知識を増やして色々な道を探るのはいいんじゃない? なんて思うけれど、当時としたら師範学校に入ったんだから模範的な先生になるべき、なんて感じなのかな。

大人志ん生パートはワンダ

ふとワンダのCM見てたらビートたけしさん、神木隆之介さん、川栄李奈さんが出演してましたね。このCMを見てから大人の志ん生パートがワンダのCMにしか見えなくなりました。

志ん生(若)は今回師匠に弟子入りしました。金栗四三とはなかなか交差しませんが、今回は清さんが両方と関わってました。

予告で髪型が普通の人みたいになっているのを見ると、師匠のおかげでそうなったんでしょうかね。

まとめ

今回の感想では半分くらい宮沢賢治の話をしていたような気もしますが、金栗四三は幼き頃に叶えられなかった夢を叶えました。

次はストックホルムオリンピック編ですかね。その前に播磨屋さんとの足袋共同開発がありそう。播磨屋さん、ダメ出しされた後に怒ってたけど職人魂に火がついた感じでしたもんね。

次回のサブタイトルは「お江戸日本橋」。もともと同名の民謡があり、明治まで流行っていたみたい。1964年に出版された柴田錬三郎(しばた れんざぶろう)の小説に「お江戸日本橋」があるので、民謡から名前をとって小説にしたのかな。

と、思ったんだけど、1963年に出版された颯手達治(さって たつじ)の小説「お江戸日本橋」も候補です。

ちょっと絞るのが難しいので、両方候補にしちゃいましょ。