西郷どん第29話「三度目の結婚」お互いの距離感を測ってる感じがよかです

2020年2月10日

大事な話は橋の上で

とどでございます。

長州討伐で大手柄を挙げた西郷さんは薩摩に戻って来ました。

弟が結婚し、その子供も生まれるところだったようです。西郷さんの家を切り盛りするには人手が足りないと、吉之助さぁも薩摩で結婚しなさいよとのプレッシャーがかかります。

そんな折、幼い頃一緒に遊んでいた糸さぁは子供ができなくて離縁を言い渡されてしまったみたい。

とは言っても、西郷さんも糸さぁもお互いにすぐ結婚とはいきませんでした。それぞれ思うところもあるもんね。

西郷さんは日本を変えるという思いを誰か一人でも分かち合えたら頑張れる! みたいな感じで結婚を申し込みましたが、一度は「すんもはん」と撃沈。

しかし自分に素直になった糸さぁが旅立ちの日に西郷さんを追いかけ、結婚を承諾してくれました。めでてぇ。

西郷さんにとって三度目の結婚となりました。

前回のあらすじ

禁門の変を起こした長州藩を完膚無きまでに叩きのめそうと息巻くヒー様。

幕府の海軍を司る勝海舟はその依頼に辟易し、袂を分かとうとします。

ちょうどヒー様のところを訪ねようとしていた西郷さんは勝海舟と運命の出会いを果たしました。これがきっかけで勝海舟とのパイプができました。

ヒー様は西郷さんに長州討伐を命じ、西郷さんに「任せる」と伝えました。西郷さんは長州の無血降伏を目指し、家老の切腹で手を打つことを提案。

長州の岩国でこれを聞いた吉川は、最初はいぶかしんだものの、西郷さんが禁門の変で負傷した長州藩士を保護し、無事に返してくれたことで提案を受け入れました。

が、長州を滅多打ちにすることを考えていたヒー様はご立腹。結果として徳川のために祭り事を行なっている姿にショックを受けた西郷さんはヒー様と縁を切りました。

今回はこんな話

今回のハイライトはこちら。

  • 薩摩に帰って来たら一躍ヒーローの西郷さん、かつての上司も頭を下げました
  • 藩主のもっちー、大人の振る舞い
  • それに伴い久光様も一応大人の振る舞い
  • 薩摩に妻がいないことから、西郷さんのもとにファンが押しかける
  • 一緒に雪蓬さんもやって来ました
  • 久光の元に参勤交代の命令が。「お前があかんかったんちゃうんか!」と西郷に八つ当たりするも、「恐れながらその通りです」と男泣きされてドン引き
  • 幼馴染の糸さぁが離縁されたため、西郷さんちにご挨拶
  • そのタイミングで弟の奥さんが出産、糸さぁのナイスサポート
  • 周りが盛り上がって糸さぁに西郷家に来て欲しい! と言ったものの、西郷さん本人と糸さぁはなかなか乗り気じゃない感じ
  • 「幕府やばい、長州と組むべき」と大久保一蔵に提案するも、「何考えてんの」と一蹴
  • それがあったからか、糸さぁへのプロポーズも「おいはこれから日本を民のための国にする。誰か一人でもおいの理想に付き合ってくれたら心強い」になりました
  • 一回断られたものの、自分の気持ちに素直になった糸さぁは結婚を承けることに。めでてぇ

今回も気になる所を中心に。

部下が出世して戻って来た!

冒頭で「西郷さま〜〜〜」と頭を下げていたのは、年貢の取り立てを行なっていた頃の上司である井上殿。

賄賂をもらってお目こぼしをしていたあの上司です。

お米の計量の時、「役人の膝に溢れた分はお上のものじゃあ!」なんて言ってお米を多めに取り上げていた人です。

彼は、長州討伐で大手柄を挙げた西郷さんにひれ伏しました。かつて強く当たっていたこともあるから、気が気じゃないでしょうね。

とはいえ西郷さん的には些事です。嫌な元上司とはいえ、態度を変えずに接しているあたり気にしてなさそう。

いっそボロクソに言ってくれた方が元上司的には罪悪感がなくて助かるのかも。

もっちーは流石の藩主

島津久光の子供である藩主・島津茂久(もちひさ)は、手柄を立てた西郷さんをみんなの前でちゃんと褒めました。

西郷さんと仲の悪い久光はあまりいい気はしないでしょうが、茂久は「父上からも」と労いの言葉を求めました。

いやー本当に周りが見えるいい藩主ですね。

国父は薩摩の最高権力者ですよ、と示しつつ、手柄を立てた部下を自分の言葉で褒めさせることで、「頑張ったら一番上の人にも認めてもらえる」と周りに示したのですから。

ここまでされたら久光も西郷さんを無下にはできません。苦々しい思いはありつつも、ちゃんと家臣が大勢いる前で労ってくれました。

前々回、大久保一蔵だけがいる場で「はいはい、おつかれちゃーん」なんて言ってたのとは大きな違いです。

きゃー西郷さん素敵ー!

名声が高まれば、自然とモテるようになります。

西郷さんは薩摩に妻がいないと聞いて、薩摩中から女性たちが集まって来ました。

とはいえ結婚できるのはひとりですから、西郷さんの家族による面接が始まりました。

弟の吉二郎が「家はひどか貧乏です。耐えられもすか?」と先制パンチ。

薩摩のヒーローとの結婚を夢見てやって来た乙女に現実を突きつけます。

噂に聞くヒーローだったらお金いっぱい持っていそうなものですが、西郷さんの家は借金まであるんですよね。

3話で商人から借りたお金は、明治に入ってやっと返し終わったみたい。

家を切り盛りしていた弟の苦労がしのばれます。ほろり。

そんな訳で、西郷さんの家のことを手伝ってくれる点も結婚相手に求められるみたい。

そして最終的に西郷さんの家に来たのは……沖永良部島で運命の出会いを果たした川口雪蓬さん。おっさんです。

なんで参勤交代の話がくるのだ!

西郷さんちは西郷さんちで忙しいのですが、薩摩も忙しくなりました。

ヒー様が幕府の威光を高めるべく、参勤交代でやってこいと手紙をよこしたのです。

この手紙に激怒する島津久光は、西郷さんを呼びつけてお説教です。

「お前なんかやらかしたんと違うか!?」

といつもの喧嘩を吹っかけますが、西郷さんは「恐れながら……その通りにございます」と素直に謝りました。

これには久光も苦笑い。しかも西郷さん泣いてるし、「え……今回は俺悪くないよね……?」と、戸惑いが見られます。

大久保一蔵も泣き出す西郷さんにびっくり。

まぁ確かに西郷さんは短刀を抜いてヒー様の股の間に突きつけたから、やらかしてますよね。言える訳ないけど。

長州と手を組むのもアリなんじゃない

大久保一蔵との密談で、長州と手を組む案を伝えた西郷さん。

しかし一蔵どんは乗り気じゃない様子。

朝敵となった長州と手を組むとか、確かに正気の沙汰ではないです。

薩摩まで朝敵扱いで、果ては幕府軍が攻めて来ることまで想定できますし、現実を見ている一蔵にとってはあまり進んで乗りたくない策。

参勤交代まで要求して諸藩のお金を削ろうとしている幕府に表立って楯突くのも……。

西郷さんからすれば桂小五郎というパイプがあるし、直接話しているから信用もできるでしょうが、一蔵からすると得体の知れない相手なので、すぐに手を組もうとは言えないよね。

糸さぁのご挨拶

子ができないからと離縁されてしまった糸さぁ。

西郷さんちにご挨拶です。西郷さんは「奄美に妻と子がいるから」と、糸さぁは「私は西郷さんにふさわしくないから」と本人同士は結婚を否定しますが、西郷さんちの人々や糸さぁの父親からは結婚を勧められました。

そんな話し合いをしていると弟の子供が生まれました。糸さぁはこれを手伝い、その手際の良さにみんな惚れ惚れ。「是非ともうちに!」となるものの、やっぱり西郷さんも糸さぁも乗り気になりません。

西郷さんにとっては恋愛結婚した妻が奄美大島にいるのに、「家のために」と薩摩で結婚するのもなんだか裏切っているような気持ちになるのかも。

糸さぁだって求められているのは家事の能力だし、それで結婚するのもなぁ……ってなるよね。しかも昔好きだった人だから、余計に恋愛感情抜きで結婚するのも辛いでしょうし。

私、待つわ

が、しかし、西郷さんは糸さぁにプロポーズしに行きました。

恋愛感情というよりは、精神的支柱としてのパートナーを求めている感じ。親友でライバルの大久保一蔵とは理想を分かち合えなくても、誰か一人でも側でわかっていてくれる人がいてほしい、とアガペー的なプロポーズでした。

それでもためらう糸さぁでしたが、父親が「俺が決めた結婚で辛い思いをさせてすまなかった。自分の心にしたがって生きろ」と後押しし、京に戻る西郷さんを追いかけました。

そして、「私、待つわ」と西郷家の一員として薩摩で待つとプロポーズの返事。結婚が決まって最初に言うのが「行ってくる」というのも慌ただしいですが、もともと知らない仲じゃないし、これでいいのかも。

そしてこのプロポーズの返事をしたのがいつもの橋だったのもいい演出ですね。

今回は子供たちとうなぎを取るときにこの橋の下で取ってましたし、子供時代はこの橋から糸さぁが西郷さんたちを見ていましたし。

余計なことを言うなら須賀さぁが西郷さんと離縁したときに泣いていたのもこの橋でした。薩摩での物語の中心にある橋です。

まとめ

薩摩に帰ってきて桜島が映ると安心するようになりました。

京では血で血を洗う世界が広がっていましたし、この後また動乱が起こることが予想されますし、薩摩のハートフルな雰囲気がいい清涼剤になった気がします。