いだてん29話感想「夢のカリフォルニア」引き際はドラマを生む

2020年2月15日

選手選考会 自由形(犬かき)

とどでございます。

引き際というのは選手にとって大きな決断です。

これまで輝かしい結果を出してきたという自分の矜持もあるでしょうし、勇気を持って身を引くのはすごいこと。

今回はアムステルダムでメダルを取った高石勝男の決意を軸に、当時の日本人の扱いが描かれました。

今回のサブタイトル

今回のサブタイトルは『夢のカリフォルニア』。1965年に発売されたママス&パパスの曲です。カリフォルニア州ロサンゼルスでのオリンピックなのでそのまんまですね。

ママス&パパスでググるとサジェストがドロドロな感じでした(余談)

カリフォルニアに着いてすぐ、フラッシュモブのような踊りで乗り込んだ日本選手団。このお祭り感は「夢」っぽさが出ている……かも。

このシーン、いきなりミュージカルが始まってびっくりしました。

ところどころ艦が映る

のがちょっと怖いですね。

大砲をドカンドカン撃ってるのが緊張感。

なめくじ艦隊もだいぶ恐怖でした。なめくじが這っているのは慣れるもんなんですかねぇ……。塩まいても縮んだなめくじはそれはそれでグロいので結構きついです。

子役の子は顔になめくじ付けてましたが、めちゃくちゃガッツありますね。将来大物俳優になるかもしれません(期待)

挑発したのに笑顔で握手される

って怖くない?

アメリカ水泳チームの監督は「お前らこないだの借り返したるわ。屈辱を手土産にさっさと帰るんだな(意訳)」なんて挑発してきたのに、まーちゃんやカクさんは笑顔で握手を求めました。

こんなことされたら「こいつらなんで笑顔なの? ……こっちを敵とも思ってないのかな?」と不安になりそう。

あちらは日本チームの泳ぎを研究して、何が何でもリベンジを果たす気満々です。勝利のために臥薪嘗胆で研究する強さも持っている強いチームですね。

高石勝男の分析力

ノンプレイヤーキャプテンとして期待される高石勝男。

練習後にタイムの一覧を見ながら「一口に選手と言っても、ピークを迎えた後の選手と、これから伸びていく選手で同じ練習法でいいはずがない」って感じで割と現代的な分析を行なっていました。

80年前のスポーツ界でそのような分析が行われていたのかどうかは定かではありませんが、高石のこれまでの経験から分析力が発揮されているシーンでした。

これがあったからこそ、高石が選手として泳がなくても、まーちゃんはロサンゼルスに彼を連れてきたかったんですね。

選手たちみんなの心の支えとなってくれるのはやっぱりこの人。ところどころ関西の顔が出てくるのもご愛嬌です。

メダルは誰のため?

「高石が出場することで、メダルではない何かが生まれる」というカクさんに対し、「メダルを取ろう」と頑なに当初の目的を堅持するまーちゃん。

その理由が今回明かされました。

暗いニュースが続く中、オリンピックの間だけはみんなを笑顔にしたいと、メダルを取ることでみんなに明るいニュースを届けようとしたのでした。

元同僚の河野一郎と話した時のように、日本のみんなを笑顔にするというスケールの大きい話だったんですねぇ……。

この話を聞いていた高石は、選考会で負けたら潔く引退する心算で勝負に挑みました。

大きく力を付けた後輩たちには叶わなかったものの、泳ぐだけでみんなを熱い気持ちにさせるその姿は、まさにキャプテン。

出場選手の発表の後に率先して拍手するのもかっこいいです。

女子チーム合流で色めく選手たち

日本で練習しているときは同じプールで男女一緒に泳ぐことがなかったため、先にカリフォルニア入りしていた男子チームはそれはそれは大きな盛り上がりでした。中学生か。

しかも自己ベストが出るという張り切りぶり。

女子チームはアメリカの人々にもモテモテで、YUKATAを着てパーティ会場を颯爽と歩いていました。

それにしても大河ドラマでスク水(男女問わず)を放送するとか攻めてますね。

……と思ったけど、金栗四三さんのふんどし一丁とか、なんならすっぽんぽんの後ろ姿も映ってましたし、今更でした。

職を奪われた人々

日系人の移民がアメリカ人の仕事を奪っているから風当たりが強い、なんて話も出てきました。

1929年に始まった世界大恐慌が尾を引いて仕事を探すのも一苦労な時代に、リトルトーキョーなんて作ってそこで仕事をしていて……なんてのを見たら複雑な気持ちになるかも。

プールの守衛さんも最初は門を開けない嫌がらせをしていました。きっと辛い思いをしてきたのね。

それでも、毎晩高石が練習している姿を見ていたからか、選手選考会では高石の姿を見にきていました。今回この演出がちょっとよかったです。

前回の予告で「有色人種と同じプールで泳ぎたくない」みたいなセリフがあったのでひどい迫害があるのかと警戒していましたが、だいぶマイルドな感じでしたね。

まとめ

今回はロサンゼルスオリンピックに向けた水泳の選手選考会の回でした。

アントワープオリンピック、アムステルダムオリンピックと、1回でスパッと終わってしまっていたので、今回は選手の内面などもちゃんと描かれていて嬉しいです。

次回、オリンピック本編です。

次回のサブタイトルは『黄金狂時代』。チャールズ・チャップリンの映画です。1925年制作だから……ロサンゼルスオリンピックの7年前ですね。

当時の日本人選手団も見に行ったのかしら?