西郷どん第10話「篤姫はどこへ」海への失踪と今後の運命のダブルミーニング
とどでございます。
前回水戸徳川家の徳川斉昭(なりあき)が島津斉彬(なりあきら)の手紙を破いたことで、斉彬は「面白いお方だ」と笑います。でかい人同士だとこういう余裕のある表情がいいですね。
そんな折、篤姫が実の父の訃報を受けて街に飛び出したので、西郷は探しに行くことに。大事なく篤姫を見つけ、「このことは二人の秘密だ」と篤姫に言われました。少女漫画だったら結ばれない恋が生まれてました。この失踪が一つ目の「篤姫はどこへ」でした。
連れ戻された篤姫は、徳川家に輿入れすることに。夫又吉、母ピン子。渡る世間は鬼ばかりです。
輿入れのために花嫁修行をする篤姫でしたが、橋本左内から西郷さんに「薩摩の殿は慶喜を将軍にしようとしている」と聞かされ、その真意を問うことに。
「篤は不幸になる」と冷たく言い放つ斉彬。篤姫の運命はどうなるのか。これが二つ目の「篤姫はどこへ」です。ダブルミーニングが素敵。
前回のあらすじ
薩摩から江戸に来た西郷さんは、先に江戸に来ていた郷中の仲間である大山格之助と有村俊斎に連れられて、歓楽街である品川宿に行くことに。
お堅い西郷さんは拒むものの、無理やり連れられた先では、2話で借金取りに連れていかれた「ふき」と再会。そのふきのお得意様である「ヒー様」を紹介された西郷さんでしたが、実は彼の正体は一橋慶喜、のちの将軍慶喜でした。
肝心のお仕事ではしばらく庭掃除を任されていた西郷さんは、ある日斉彬に御庭方を任されることに。そして幼い頃、斉彬が薩摩に来ていた時に会っていたことを告げると、彼もまたその時のことを思い出してくれたのでした。
「その命、儂にくれ」と密偵としても任務を受けることになったのでした。
前回の見所は、斉彬様の顎クイです。
今回はこんな話
ざっくりまとめると、今回はこんな話でした。
- ヒー様の正体を確かめるために品川宿へ
- 品川宿で橋本左内と出会う
- 篤姫の失踪
- 二人だけの秘密
- 篤姫の花嫁修行
- 橋本左内から斉彬の企みを聞く
- どうなる篤姫
いつもみたいにあらすじを書くんじゃなくて、ポイントごとに感想と考察を入れてくスタイルで。あらすじを追ってくのは正直しんどいし。
ヒー様の正体
水戸徳川家の屋敷で「ヒー様」に会ったという西郷さん。斉彬の命でヒー様の正体を確かめることになりました。視聴者的にはモロバレなんですけど、前回はまだヒー様は白を切っている状態でしたもんね。
正体を確かめるといえば、品川宿。最初に会った場所に向かうのは鉄板です。相変わらず妖しげな場所ですね。画面の雰囲気もなんだか妖しい感じ。赤と紫と黒系の色って、妖艶な感じがします。
西郷さんは店員さんにヒー様の場所を聞き、連れて行ってもらいました。他のお客さんを連れてこられたらたまったもんじゃないです。ヒー様よく怒らなかったね。
人払いをした後に、西郷さんに慶喜かと聞かれると「江戸にこんないい男が2人もいるか」と粋な返し方をしたのでした。江戸っ子感が出ていていいですね。お父様の顔色を伺っていた先週とは別人のようです。
完全に余談だけど、auのCMで桃ちゃんを見ると笑っちゃいそうになるんですよね。どっちも侍な感じの格好ですし。
橋本左内がまんまスパイ
品川宿ではヒー様の部屋の外で話を聞いていた橋本左内さん。まんま隠密感が出てました。
「お客様の中に、お医者様はいらっしゃいませんか!?」な状況にも冷静に対応して、かつ名前を明かさないなんて、これは訓練された隠密です。もはやニンジャです。
のちに西郷さんを訪ねてきた時には、日本の未来や政局について熱く語っていました。西郷さんも同じ立場だと思ったんでしょうね。でも西郷さん、何の情報も持ってなくて橋本さんとしては期待はずれ。
「こんな男を買いかぶってしまっていたのか……」と勝手に失望していく様子は結構ひどい。
すっごい個人的な感想ですが、去年陸王を見ていたからか、銀行員だった坂本さんにしか見えませんでした。喋る雰囲気も、喋っている時の顔も坂本さんっぽくて変な笑いが。
今回のサブタイトルはダブルミーニング
もうこれだけは今回言いたかった。今回のサブタイトルはダブルミーニングになっていました。
ダブルミーニングは2つ以上の解釈ができる事柄のこと。今回の「篤姫はどこへ」には2つの意味がありました。
過去に向いている「どこへ」
一つ目は、実の父の訃報を受けた後の失踪。「篤姫はどこに行ったんだ」という西郷さんの心配する気持ちが表れています。起こってしまった失踪についての心配です。
町娘と服をすり替えてまで一人になりたかった篤姫。結局海まで歩いて行ったようです。
このシーンでは「泣きたい時には泣いたらいい」と西郷さんも一緒に泣いていました。この共感する力が西郷さんの持ち味ですよね。いい意味で人たらしです。
こんなにも寄り添ってくれるとか、篤姫惚れちゃっても仕方ない。ジョン万次郎の「LOVEぜよ!」を篤姫が聞いていたら、今回くっついてたかもしれません。
「このことは二人だけの秘密じゃ」とおっしゃる篤姫様。秘密の共有とか、完全に身分を超えた恋が始まる合図です。お姫様とナイトですもん。この出来事が二人の思い遣りの気持ちを大きくしたのは間違い無いでしょう。
未来に向いている「どこへ」
二つ目は、今回の最後、斉彬の思惑を聞いた時に「篤姫の未来はどうなるんだ」とこれまた心配をしています。今度は、この先篤姫はどうなってしまうのかという未来方向の「どこへ」です。
篤姫を13代将軍徳川家定に嫁がせる一方で、将軍は一橋慶喜(ヒー様)に継がせようとする斉彬。西郷さんの視点からだと、篤姫が不幸になる未来しか見えません。
ここまで西郷さんが篤姫を心配するのは、やはり失踪の時にあった秘密の共有のおかげかな。あの時は篤姫も斉彬の娘というペルソナを外して、素の自分で「父上!!」と実の父親に会いたかった気持ちを海に叫んでいましたし。むき出しの感情で触れ合ったのも絆を深めました。
このように2つの意味がサブタイトルに込められていました。
直虎の時も遊んでいるようでちゃんと本編に絡めていましたし、サブタイトルの意味が分かると気持ちがいいです。
薩摩言葉の矯正
あと今回注目したいのが薩摩言葉の矯正。将軍家に輿入れすることになった篤姫の薩摩言葉を江戸や京都の言葉に改める指導をする幾島さんに注目です。
モスモスモスモスうるさいんじゃ!!
と怒ってしまった幾島さん。
モスバーガーに謝れ!!
モスモス言ってもいいでしょう! モスバーガーさん、西郷どんコラボが狙い目ですよ。
さて、言葉の矯正のために、壁に色々書いてあったの、気付きましたかね?
薩摩言葉に対応する江戸言葉を横に書いてあるのがシュールでした。
前日からの伏線
実は土曜日、ブラタモリで鹿児島特集があったのですが、その後に西郷どん特集として薩摩言葉の説明があったんです。
まさか昨日の放送まで伏線にするとは……。
薩摩言葉の指導をしていたのは、真田丸で三十郎として出演していた迫田孝也さん。実はこのドラマの薩摩言葉の監修をしてたんですね。テロップに名前があって、同名のおじいちゃんだと思ってました。すんもはん。
彼と一緒に先生役をしていたのが西郷さんの妹として出演している桜庭ななみさん。彼女も鹿児島出身で先生役として出ていました。
前日は標準語→薩摩言葉だったのに、次の日は薩摩言葉→標準語の指導。視聴者の頭の中は薩摩言葉でいっぱいになっていますから、幾島さんに一緒に指導されている気分になれました。
まさかNHKはここまで見越していた……?
斉彬さまは江戸の言葉
全然意識してませんでしたが、そういえば斉彬様は薩摩言葉を喋ってませんでしたね。渡辺謙さんのインパクトが強すぎて、気にしてませんでした。
斉彬さま、江戸生まれ江戸育ちでしたもんね。そりゃ薩摩言葉をあまり使わんわ。
江戸言葉と薩摩言葉、両方わかるようになるとあまり違和感を感じなくなります。バイリンガルの人ってこんな感じなんでしょうか。教えてたもんせ。
佐野史郎、悪役のインパクト強すぎ問題
大河ドラマでは井伊直弼役として出演している佐野史郎さん。
その佐野史郎さんはTBSの99.9にも出ていました。しかも犯人役。なんかこう、悪役として使いすぎじゃないかしら……。冬彦さんとか。冬彦さんとか!
井伊直弼も完全に悪役かと言われると微妙ですが、武力を備えた開国を目指す西郷さんサイドと対立する側であるのは違いないです。
佐野さん本人も、ドラマに出ると悪役を期待されているのを感じているらしく、西郷どん特集の「井伊さんぽ」の中で言及していました。それでも実際に彦根を訪ねると、文武両道で茶も嗜んでいた井伊直弼が卑怯なことをするのか……? という視点もあるそう。
立場が違えば見方や受け取り方が変わるものです。去年井伊の人々が頑張っていた姿を見ていた私からすると、井伊直弼を単純に悪役としてほしくないなーという期待があります。
最終回で「いざ!」と未来を見るために井戸を覗き込んだ先で井伊の後継者が謀殺されてました、なんて悲しすぎ。
まとめ
今回のサブタイトル「篤姫はどこへ」はダブルミーニング。失踪しての「どこへ」と、斉彬の思惑によってこの先の運命がどうなるのかという意味の「どこへ」がかかっていました。
また、新たに橋本左内も登場し、激動の時代の登場人物たちが西郷さんの周りに集まってきました。
来週の予告を見ると斉彬様に蹴られるわ、橋本左内と一緒にアサシンに襲われるわで激動の西郷さん。そして次回のサブタイトルが「斉彬暗殺」。いやもう、「ガルマ散る」と同じレベルのネタバレよ。
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